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投稿:2020年11月25日更新:2021年05月11日

多職種連携・地域連携

879. 東日本大震災の記憶や教訓伝える・いわき震災伝承みらい館

いわき市薄磯地区に整備された「いわき震災伝承みらい館」は、東日本大震災の記憶や教訓を伝えています。今年5月30日に開館し10月11日に来館者1万人を達成。震災当日に卒業式が執り行われていた旧豊間中の黒板など、館内にある現物資料が被害の甚大さを後世に伝えています。現在、全国的に有名となった「奇跡のピアノ」が期間限定で展示されています。震災語り部は来館者に九死に一生を得た体験を伝え、防災の大切さを訴えています。

 

 

● 建設に向け5年前から検討

「みらい館」の建設に向けて2015(平成二十七)年6月、学識経験者を始めとした各界各層からの代表者による「いわき市震災メモリアル検討会議」が設置されました。この検討会議からの提言を受け、翌年5月に「いわき市震災メモリアル事業方針」が策定されました。この事業方針で、震災経験の可視化や市内各所での復興まちづくりの支援などを行うための施設整備が位置付けられ、さらに具体的な展示内容などの基本計画が策定されて着工。今年2月に完成しました。

 

● 来館者1万人超え

この施設では「記憶の記録化」と「記録の記憶化」という2つの機能を担うことを基本的な考え方とし、「収集・保存」、「学習・継承」、「交流・連携」、「情報発信」、「追悼・鎮魂」の5つの事業を展開。震災関連資料の収集・保存・公開、震災の記憶や体験談を生の声で伝える震災語り部による講話、防災・減災教育の推進、追悼の場づくりといったイベントなどに取り組みます。10月11日に来館者数が1万人に達成。約3割が市外からの方で、そのうち県外は茨城県や栃木県などからが多く、沖縄県からの来館もあったといいます。秋は小中学校の総合学習や修学旅行シーズンで多くの児童生徒が訪れ、週末は家族連れの来館者が多いようです。

 

 

 

● 卒業式当日の黒板

ホールを抜けて展示室に入ると、目の前の200インチモニターが視界に飛び込み、街を飲み込む津波や、苦難を重ねながら復興に向かう市民の様子が映し出されています。このモニターの下には、卒業式当日に被災した旧豊間中の3年1組の黒板。津波被害から難を逃れた黒板には「祝卒業」「晴れの門出です。全員笑顔で出発しましょう!」という文字が残っていて、将来に対する夢や希望に満ちた日にも起こりうる災害の恐怖や備えの大切さを後世に伝えています。また、防災グッズを直接手に触れて学べるハンズオン展示や、地震発生時や避難所生活などに関するタッチパネル展示を通して、防災・減災の知恵や教訓を学習することができます。

 

被災体験を伝える震災語り部の講話

 

  • 被災体験を伝える震災語り部

10月27日に来館した際には期間限定で「奇跡のピアノ」も展示されていました。このピアノは、市内の調律師が復活させ、NHKの紅白歌合戦でアイドルグループの嵐のメンバーが演奏するなど、国内外で開催される様々なコンサートで演奏されてきたもので、たくさんの来館者から「どこに行けば見られるの?」という問い合わせが多く寄せられていたといいます。来館したこの日は震災語り部が、団体客に自身の被災体験を伝えていました。地震発生後、油断して久之浜町の自宅に帰った反省を語り、津波に襲われながら車を飛ばし、巻き上がる粉塵や家が流されるバリバリという音が鳴り響く中、必死に逃げたという体験談を話していました。別の車で逃げていた家族は引き潮に巻き込まれ、沖に引っ張られるところをブロック塀に引っ掛かって奇跡的に助かったと言いました。寝たきりで動けない人が犠牲になり、助けられなかった無念さ、こういった方々を守るための共助の取組みや避難訓練の重要性を訴えていました。

 

2階の展望デッキからの風景

 

 

<記者のひとこと>

震災語り部が、寝たきりの「避難できない人」を救えなかった無念さをにじませていたのが印象的でした。「避難できない人」を残して避難せざるを得ない辛さを想像すると心が痛みます。その語り部は体の不自由な方も含めた避難訓練や行政と連携した支援体制を関係機関に訴えているとの話でしたが、「自分を守るのが精いっぱいだった」という悔しさが行動に突き動かしていると感じました。地域の介護を必要とする方々を守るためには、みんなで防災を考える必要が出てきます。医和生会(いわきかい)もご利用者様、職員の安全を守るため避難訓練に取り組むのはもちろん、地区の力になれるよう考えていくのは大事だと思いました。これをご一読された方が、みらい館に足を運び、防災意識を高めるきっかけになれば、うれしいです。(事業推進室・西山将弘)

 

【いわき震災伝承みらい館】

住所:福島県いわき市薄磯三丁目11

開館時間:9:00~17:00(入館は閉館の30分前まで)

休館日:月曜日(月曜日が祝日の場合は翌平日)、年末年始

入館料:無料

利用予約:団体利用の場合には事前予約が必要

電話:0246-38-4894

ホームページ:https://memorial-iwaki.com/

<震災語り部の定期講話>

開催日時:土日祝日の10:30~11:30と14:00~15:00

※ 今後、開催日時について変更する可能性もあります。

なお、被災地視察や教育旅行などで個別に震災講話を聴きたい場合には、お問合せください。

 

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