いわき市平地区の医療・福祉関係者が交流する「平在宅療養多職種連携の会」がこのほど、オンライン上で開催されました。介護支援専門員(ケアマネジャー)が服薬管理に困っている支援事例を共有。過剰とも思われる複数の薬を服用している患者との関わり方を考え合いました。
● ケアマネジャーが支援事例を共有
参加者は薬剤師とケアマネジャーが多く、ほかに医師、リハビリ職、市職員、市地域包括支援センター職員ら24人。11月19日に開かれました。支援の悩みをテーマにケアマネジャーが発表。事例に取り上げられた患者は生活保護を受給している独居男性。複数の病院で受診し、市販薬を含めて32もの薬を服薬しています。薬に依存しているのか減らすのが難しく、体調不良になるたびに薬が増えている状況を説明しました。
● 薬剤師が専門的にアドバイス
この事例と服薬のリストを確認したある薬剤師は、下剤と下痢止めの薬が交じっているなど、飲み合わせが良くない処方薬も見受けられると指摘。副作用の恐さを多職種で伝える必要性と、病院からの薬が減ると市販薬が増える懸念も注意しました。薬代が公費でまかなわれる生活保護の受給者は薬を増やす傾向があり、別の薬剤師は体験談として生活保護から外れると薬を減らすようになって体調が改善されたと紹介。複数の薬局に通っているため「利用する薬局を一つにする」というアイデアも提案。同連携の会の山内俊明会長(医和生会山内クリニック院長)も薬の気になる点を指摘し、薬局を一本化して整理するのをすすめました。
● 信頼関係を築くのが大事
そのほか薬剤師から出た意見は、信頼関係のある薬剤師がいれば薬の整理を患者に提案してもらう、薬剤師協会が無料訪問で服薬相談するサービス(※)がある、など。発表者でないケアマネジャーは、患者本人が薬を減らしたいと思っていない状態で安易に説得すると怒らせて逆に関係が悪化すると懸念し、交友関係の無さから「『人を頼ってもいいんだよ』と心を許す関係性を築くのが大事」と話しました。
※「福島県薬剤師会のおためし訪問事業(福島県薬剤師会ホームページ)」:https://www.fukuyaku.org/promotion/monitor-1
● 事例発表者、解決策を見出す
相談したケアマネジャーは、「薬局を一つにするアドバイスはなるほどと思った」「服薬を減らすと市販薬が増えるかもしれないというのは気を付ける」と収穫を語りました。事例の患者は今春からデイサービスに通うようになって気持ちも前向きになっているといい「(今回の話し合いで)薬局を一つにするタイミングだととらえた」と解決の糸口を見つけた様子でした。
【平在宅療養多職種連携の会】