医和生会(いわきかい)グループの社会福祉法人「いわきの里」(いわき市好間地区)は、地域交流の輪を少しずつ広げています。施設イベントに地域の園児や生徒を招いたり、台風水害時には避難者にシャワーを提供したり。昨年春からは新型コロナウイルスの感染拡大の影響で交流が停滞中ですが、ご近所回りをして新たな気付きも。近くの小学校との思いやりのやり取りもできました。いわきの里の畠山勲施設長は「キャッチボールのように、地域から気持ちを受けたら返すを繰り返して交流の輪を広げたい」と考えています。

好間川沿いにある社会福祉法人「いわきの里」(右)。周辺は住宅や公民館、復興公営住宅がある

●　「いわきの里まつり」や「オレンジカフェ」

いわきの里は2011(平成二十三)年8月に誕生しました。現在、好間地区では地域密着型特別養護老人ホーム「サンシャインよしま」、小規模多機能型「つどい」、ショートステイよしまを運営。施設の周辺は住宅、保育園、小中高校、公民館、復興公営住宅などがあり、小さなコミュニティーが形成されています。毎秋開いている「いわきの里まつり」(※1)では、地元の園児や中高生らを招いてパフォーマンスをご利用者様に披露していただいたことも。2019年秋の台風水害では近くの中学校や公民館に避難した方々にシャワーを開放。その利用を機に、毎月定期的に施設で開催していた「オレンジカフェ」(※2)に住民が訪れるようになって交流が生まれました。

※1　「地元の子ども達を招いた去年の『いわきの里まつり』」2019年10月5日投稿：https://iwakikai.jp/blog/2442/

※2　「サンシャインよしまでのオレンジカフェ」　2019年8月28日投稿：https://iwakikai.jp/blog/1917/

●　コロナで交流停滞、でも気付きも

ですが昨年春からは新型コロナウイルスの感染拡大で交流に影響も。感染予防のため「いわきの里まつり」は施設外からの来場を制限し、オレンジカフェは休止中。夏には駐車場で近所の子どもたちを招いた花火大会も検討されましたが、感染予防のためご利用者様と職員だけで実施しました。それでも花火大会でご迷惑にならないようご近所にあいさつ回りしたことで新たな交流も。シソを栽培している家庭ではその話で盛り上がり、施設の浄化槽作業の際には臭いが気になるという助言もくださった家庭もありました。生活相談員と一緒にあいさつ回りした畠山施設長は、近所の方々をあまりに知らなかったのを痛感。職員一人一人がもっと地域に関心を持ってあいさつを交わせるようになれば、もっと楽しく働けるようになって地域も明るくなると気付くきっかけになりました。

「いわきの里」近くの好間一小の児童が描いた感染予防啓発ポスターを受けた畠山施設長(左)=2020年11月26日

児童から贈られた愛のこもった感染予防啓発ポスターのお礼を伝えに、好間一小を訪問した畠山施設長(左)=2020年12月8日

●　近くの小学校と交流も

去年11月には近くの好間一小保健委員会から、児童が描いたコロナ感染予防の啓発ポスターの掲示の依頼を受けました(※3)。手洗いを呼び掛ける児童の愛のこもったポスターを施設内に飾って、ご利用者様や職員はより感染予防を意識するように。お礼を伝えようと後日、畠山施設長らが同小を訪問。ポスターを掲示した手洗い場の写真と感謝のメッセージを校長に託しました。畠山施設長は「子ども達が挑戦したことで地域が喜ぶと知ってほしかった」とお礼に思い至り「キャッチボールのように、気持ちを受けたら返すことで地域の輪が広がっていく」と話しています。

※3　「好間一小の保健委員会が、いわきの里に手洗い啓発ポスター贈る」　2020年12月8日投稿：https://iwakikai.jp/blog/4996/

●　「地域と思いのキャッチボールができるように」

「施設の職員や地域住民がお互いの顔が見えて、困った時に助け合える関係を築きたい」と畠山施設長。閉ざされたイメージを持ちがちな福祉の世界ですが、地域で朝「おはようございます」「お元気ですね」といった何気ない日常会話を交わせるようになることで、住民は福祉施設が明るい場所だと感じ、職員は楽しく仕事できるとも。「地域と思いのキャッチボールを職員みんなができるようになってほしい」と話していました。

【いわきの里】

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