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投稿:2021年01月29日更新:2022年12月26日

多職種連携・地域連携

905. 患者様の本音とご家族の考えで葛藤・平多職種連携の会で事例共有

いわき市平地区の医療・福祉関係者が情報共有する「平在宅療養多職種連携の会」がこのほど、オンライン上で開催されました。病院でリハビリテーションに携わる理学療法士が、退院後は帰宅したい患者様の本音と、心配して施設入所の手続きを進めるご家族の考えに挟まれた葛藤を共有。新型コロナウイルス禍での面会制限により、入院する患者様の回復具合や様子をご家族が把握しにくくなっている課題も挙がりました。

 

● 帰宅したい、けど施設入所すると約束

参加者は医師、歯科医師、薬剤師、介護支援専門員(ケアマネジャー)、リハビリ職ら20人。1月21日に開催されました。発表者の理学療法士が、入院中にリハビリを頑張って回復したのに家族との思いがかみ合わず望まない入所に至った90代女性患者の事例を紹介。脚を骨折して入院したその女性は、早い段階で自立生活はもう無理だと諦め「迷惑を掛けるなら施設に入る」と、同居する長男夫婦に約束。ご家族が入所の手続きを進める一方、女性はリハビリでみるみる回復。「家の階段も上り下りできるかもしれない」と喜び自信を深めるも、「息子と施設に入ると約束しちゃった」と後悔を吐露。ご家族が進めている入所手続きの動向が気になり「(私が)入所する施設はもう決まっちゃったの?」と職員に涙を見せる時も。その後、施設に入所しても外出で一時帰宅できるのを知って気持ちを切り替え。自立生活できるまでに回復して退院し、入所したという。

 

● 面会制限の中、リモート面会やリハビリ動画紹介

発表者は、新型コロナ禍で面会制限となって患者様とご家族様の思いがすれ違わないよう、リハビリ職員が始めた対策も共有。リモート面会をはじめ、ご家族が洗濯物交換で来院する短いタイミングを狙ってリハビリの状況を報告し、リハビリの動きを撮影した動画を見せることも。訪問できないので自宅写真を借りて手すりの位置を考え、訓練する動作も指導するようにし、ご家族とコミュニケーションを取っているという。

 

● 本人の思いをご家族に伝えるためには

発表者は参加者に「入所させようと考えるご家族の意識が変わった体験はないか?」と尋ねました。あるケアマネジャーは、コロナ禍の面会制限で回復具合をご家族が目で確認できず不安になるだろうと指摘。別のケアマネジャーは、今回の事例と同じ状況でご家族の対応が変わった体験を共有。ご家族が本人と会って話ができたのがきっかけだったと話し、リハビリを頑張っている姿をご家族に見てもらうのを勧めました。また別のケアマネジャーは、看護師から「もう家に帰るのは難しいね」と言われて一時落ち込んだものの別の看護師から「こうリハビリすれば家でできる」と励まされ自信につながった患者様の体験を共有し、周りの声掛けやアドバイスの重要性を話しました。

 

● 「本人の本音とご家族の覚悟を大事に」

歯科医師、薬剤師、介護用具業者らも意見を共有。同連携の会の山内俊明会長(山内クリニック院長)は、患者様が入院、リハビリで何カ月も家を離れることで、そのご家族が本人のいない生活に慣れるケースも考えられ「本人の本音を聴き出して、ご家族との間に入って取り持つのが必要」と話しました。発表者は、「ほかの職種と連携しながら、本人の本音とご家族の覚悟を大事にしていきたい」と感想を述べました。

 

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