授業で認知症を学んでいるいわき市四倉地区の大浦小の4年生31人がこのほど、同小で声掛け訓練に挑戦しました。これまで高齢者疑似体験や車いす体験、認知症講座を受け、今回は最後の実践編。お年寄りや認知症者の気持ちを学んできた福祉教育の”エリート児童”は、認知症者役の住民を相手に、前から優しく声を掛ける技術を身に着けました。
● 年間通して高齢者疑似、福祉体験、認知症サポーター養成講座
四倉地区では小中学校で認知症教育を積極的に展開。2013(平成二十五)年度に始まった大浦小での認知症講座を皮切りに毎年開催校が増え、昨年度までに全小中学校で開講してきました。大浦小の校医・木村守和医師(木村医院)が絵本や講話で児童に啓発したのが始まりで、四倉・久之浜大久地域包括支援センターが主催してきました。本年度は、四倉・久之浜大久地区中地域ケア会議、同地域包括支援センター、市社会福祉協議会四倉地区協議会が協力して大浦小の4年生を対象に年間を通した高齢者福祉を指導。5月には高齢者疑似体験と車いすを使った福祉体験学習、翌月には認知症サポーター養成講座(※1)を行いました。今回は顔見知りの認知症者を見つけた時の接し方を身に着ける実践編で、11月1日に行われました。
※1
「大浦小で認知症講座」 2018年6月19日投稿:http://ymciwakikai.jp/blog-entry-499.html
● 驚かせず正面から、分かりやすい言葉で
前半の講話では、木村医師が認知症になると「すぐに忘れる」「時間や月日、場所、人が分からなくなる」といった特徴を分かりやすく説明。「『記憶』は残らないけど、嫌だな、嬉しいなという『気持ち』は残る」とも教え、優しく接すると認知症の悪化防止につながると指導しました。声掛けのポイントとして①驚かせず正面から話す②分かりやすい言葉で簡単に伝える③誇りを傷つけない④心が動く働き掛け(一緒に外出してさわやかな光を受けるなど)をアドバイスしました。最後の○×クイズで「認知症の人も誇りがあるから、難しい言葉で話しても大丈夫?」「認知症の人が間違った行動をしてもしからない?」と出題。全児童は全問正解し、学習の成果を発揮しました。木村医師は「勉強したことをお父さん、お母さんに教えてあげてください」と呼び掛けました。
● 声掛け模範の寸劇を見てから挑戦
地域包括支援センターと介護施設の職員が声掛けの失敗例と成功例を寸劇で紹介。(※2. 動画)
※2. 動画
その後、児童は7組に分かれました。介護の専門職者と区長、民生児童委員ら住民が務めるチューターから寸劇の感想を聞かれた児童は「びっくりさせないように声を掛けないといけない」などと回答。「(認知症者役の)靴下の色が違っていた」「パジャマだった」と認知症者の傾向を鋭く見抜いた児童もいました。近所の顔見知りが認知症になった設定での訓練では、児童が声掛けしても認知症者役は右往左往して気付きません。それでも前に立って大きな声で名前を名乗り、「一緒に帰りましょう」と優しく話し掛けていました。一人では不安と、友だちと一緒に声掛けする児童も。チューターは「相手が知らない人だったら、学校の先生や近所の知り合いに伝えて」とアドバイスしました。代表児童は「上手だったとほめてもらえてうれしかった」「大きな声で言ったら気付いてもらえた」と感想を述べていました。
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<認知症サポーター養成講座>
「大浦小」 2018年6月19日投稿:http://ymciwakikai.jp/blog-entry-499.html
「小名浜高校」 2017年12月14日投稿:http://ymciwakikai.jp/blog-entry-362.html
<声掛け訓練>
「常磐地区」 2018年10月23日投稿:http://ymciwakikai.jp/blog-entry-592.html
「平地区」 2018年9月14日投稿:http://ymciwakikai.jp/blog-entry-559.html
「勿来・金山地区」 2018年3月14日投稿:http://ymciwakikai.jp/blog-entry-427.html