山内クリニックの山内宏之医師(41)は山内俊明院長の長男で、長女夫婦の岩井淳一、里枝子の両医師とともに医和生会の将来を背負っていきます。現在はいわき市の福島労災病院循環器科勤務を主として、休日は山内クリニックでも診察する多忙な日々を送っています。いわきの地域医療発展のため「医療で和を生む」医和生会スピリッツを継承する山内医師のビジョンを語ってもらいました。山内クリニック開業25周年のインタビュー連載の最終回。
―開院25周年を迎えての心境は?
25年をかけて徐々に組織が大きくなり、地域における医和生会の役割も増えてきました。これを引き続き持続させていかなければならないという使命感を感じます。
―開院当時は子どものころだったと思います。当時の山内クリニックをどう見ていましたか?
開院当時、私は16歳で、磐城高校に入学したばかりだったはずです。医師に限ったものではありませんが、家族というものは伴侶や親の仕事内容をほとんど知らないものです。私自身も当時は父が何をしているのか全く分かりませんでした。今は同業者として父が何をしているのか、どの様に考えているのか、コミュニケーションを取り合って理解しています。
―いわき市の在宅医療をリードしてきた医和生会をどうお考えですか?
終末期医療や在宅医療は、まだまだ発展途上の分野です。確かに医和生会はいわき市において在宅医療をリードしており、牽引(けんいん)する立場にあります。このことについて、我々は誇りを持って仕事をすべきでしょう。しかし、全国や世界に目を向けたとき、終末期医療や在宅医療を利用される人々のニーズに対して、現状の医和生会の対応が十分であるとは思いません。全国や世界に目を向けて、流れに遅れないように成長を続けていきたいと思います。
―医和生会が今後さらに発展する上での課題は?
課題はいくつもありますが、その中で差し当たって大切と感じていることは、患者様、利用者様、そして就職を考えている方々に、我々が行っていることをもっとよく知っていただくように工夫をしていくことです。医和生会がどんな事ができるのか、どのような事をしているのか、どのようなことを目指しているのか、色々な工夫をしながら分かりやすく伝えていきたいと思います。
―医療技術の進歩で昔よりも延命が容易になった反面、病気が治らず心身に大きな負担を抱えたまま終末期を過ごし、人生を終える患者も増えていると聞きます。市民に幸せな終末期を迎えていただくため、医和生会グループとして何ができますか?
終末期について十分に理解されている市民はほとんどいないと思います。人間は人生の終末期においてどのような経過をたどっていくのか、どのような選択肢があり、その結果どうなっていくのかについて、我々は多くの経験と知識を持っています。その経験と知識を上手にまとめて、市民に伝えて、ともに考えていくことが我々にできることの一つです。
―地域から信頼される医和生会をつくるため、職員とともに歩んで参りましょう。意気込みをお願いします。
継続は力なり。患者様、利用者様、そのご家族の方々、医和生会の職員、そして我々自身のみんなが幸せになれる医療・介護を提供できるよう、考えること・行動することをこれからもずっと続けていきます。
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「山内医師の基調講演『死に方を識(し)る~やがてかならず迎える終末期に備えて』・当法人ケア事例発表会より」 2018年9月21日投稿:http://ymciwakikai.jp/blog-entry-566.html
「山内クリニック開業25周年インタビュー記事」:http://ymciwakikai.jp/blog-category-37.html