いわき市平地区の医療・介護関係者が交流する「平在宅療養多職種連携の会」がこのほど、オンラインで開催されました。発表者を務めた医薬品卸売業の職員は、遠く離れた施設で暮らす自身のお母様を題材にして発表。お母様を介護していたお父様が急死した緊急事態や、介護する身内が近くにいない状況を挙げて、参加者は家族が遠くにいる方の介護を考えました。
● 認知機能低下した家族と離れて暮らす
今回は3月25日に開催。医師や薬剤師、介護支援専門員(ケアマネジャー)、リハビリ職などの関係者約30人が参加しました。発表者は「離れているから…。〜多職種(プロフェッショナル)の皆さんに聞きたいこと、伝えたいこと~」と題し、自身の体験を語りました。自身と兄弟は実家を離れ、80代のお母様はお父様と2人で暮らしていました。ですが元気だったお父様が急死。お母様は認知機能の低下が見られ、お父様が亡くなったのを理解していなかったといいます。その後地域包括支援センターの円滑な支援で入所。医師が毎月訪問診療し、施設からは広報紙でお母様の様子を知らせてもらっている現状を伝えました。発表者は、お父様がお母様の認知機能低下を親戚や近所に隠して、頼る人がいなかったのではないかと振り返り。施設からお母様の情報が届くが、食事や体調などもっと様子を知りたいという思いも共有しました。
● 急変に備えて家族会議を
ケアマネジャーは「急に介護者がいなくなって、ご家族皆さんで心配されたと思う」と急に一人になったお母様を遠くに残す心境を慮りました。医師は「高齢で入所して急変も考えられる」とし「急変した時に備えて、延命治療はどうするかなど主治医や家族と相談しておいた方がいい」と、幸せな最期を迎えるアドバイスを送りました。発表者はうなずき「大変参考になりました」と前向きに考えていました。
● 親は迷惑掛けたくないと「大丈夫」
地域包括支援センターの職員は、遠くで暮らす子どもが仕事などで責任ある立場にあると特に、親は迷惑を掛けたくないので「大丈夫だ」と話す傾向にあると説明。リハビリ職は、自分が働く施設でも、発表者と同じように、子どもが遠くにいる境遇の親が多く利用されているといい、遠くにいても気軽に相談できる関係をつくり、近くにいる親戚・近所のつながりの大切さを語りました。親と離れて暮らした経験を持つケアマネジャーは、家族に介護を任せる自責の念を思い出し、遠くに親を残す複雑な気持ちを話しました。
● 地域のつながりを大切に
薬剤師は、「一人暮らしの患者が増えて、認知症の疑いが見られる方もいる」と実感し、そのような時は地域包括支援センターにつないでいるというが、「介入しようとしても、ご家族にもSOSを伝えられない」とも。同連携の会の山内俊明会長(山内クリニック院長)は「困った時には気軽に地域包括支援センターに相談して、そこから我々プロが支えていく。つながりを大切にしていこう」と呼び掛けました。
【平在宅療養多職種連携の会】