いわき市平地区の医療・介護の関係者が交流する「平在宅療養多職種連携の会」がこのほど、オンラインで開催されました。今回のテーマは「感染症対策」。訪問介護事業所の職員が取り組んでいる対策を発表した後、ほかの訪問系の医療・介護従事者が各自の取り組みを共有しました。有事に備えた防護セットや基本対策を確認。前回から始まった認知症支援のミニ講話では「認知症施策の重要課題」に理解を深めました。
● 訪問宅での備え
今回の多職種連携の会は6月17日に開催。医師、薬剤師、介護支援専門員(ケアマネジャー)、訪問看護師、平地域包括支援センターの職員ら約40人が参加。訪問介護事業所の職員が、取り組んでいる新型コロナウイルスの感染対策を発表しました。事業所内では朝晩の掃除の徹底、手洗い・うがい・アルコール消毒、口腔ケアといった基本的な感染対策を伝えました。訪問時の対策として、他の訪問介護職員は、1日2回の検温で体調を管理し、一人一人が消毒液を携帯し訪問宅に出入りする際に使用、換気とマスク着用の呼び掛けなどを紹介。ご利用者様が発熱した場合には、サービス内容を変更して接触時間を短くするか、防護服も準備している、と備えを共有しました。
● 防護セットの中身を紹介
ケアマネジャーは、ご利用者様が濃厚接触者になった場合に、会社、公用車、自家用車に備えているという防護セットの中身を紹介。フェイスシールド、長袖のガウン、レインコートのズボン、手袋、マスク、アルコールスプレー、靴下に加え、帰りに車内を汚染しないよう車のシートに掛けて敷くナイロンのエプロンといったアイテムを見せて説明しました。ほかの参加者が車内を守る対策に興味を持って質問し「参考にさせていただきます」と学びを得ていました。
● ワクチン接種の話題も
看護師は、毎週1回病院内で開いている感染症対策会議を説明。職員の行動基準を確認し、濃厚接触者が出た場合には対策を話し合う場を紹介しました。ワクチン接種に関する話題では薬剤師が、かかりつけ病院で予約ができず集団接種する患者様に向け、提出物の書き方指導や、服薬証明書の発行もしていると説明しました。
● 「認知症施策の重要課題」
認知症ミニ講話では、地域包括支援センターの認知症支援推進員の職員が講師役を務めました。テーマは「認知症施策の重要課題〜『できる限り早い段階からの支援』と『地域における医療・介護等の連携の推進』」。国が進める①認知症初期集中支援推進事業と②認知症地域支援・ケア向上事業を解説しました。①は背景に認知症が悪化した段階で医療や介護を利用する対応が多くあるため、医療側がチーム(認知症初期集中支援チーム)をつくって早期に認知症支援を行う取り組み。②は、①で早期に認知症支援を受けられた市民が、その後も住み慣れた地域で暮らし続けられるように医療・介護のネットワークをつくること。いわき市が取り組む①と②に関する具体的な事業の紹介もしました。いわき市の認知症初期集中支援チームの医師でもある、この多職種連携の会の山内俊明会長(医和生会山内クリニック院長)は「認知症の初期症状ならコミュニケーションが取れて信頼関係を築ける。悪化してからでは信頼関係を築きにくい」と、認知症の早期発見の重要性を指摘。みんなで連携して認知症の方をサポートしていくことを呼び掛けました。
【認知症初期集中支援チームの関連記事】
「平在宅療養多職種連携の会での講話」 2018年1月27日投稿:https://iwakikai.jp/blog/1635/
「平在宅療養多職種連携のつどいでの講話」 2018年9月15日投稿:https://iwakikai.jp/blog/702/
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