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投稿:2021年08月03日更新:2022年12月26日

多職種連携・地域連携

1016. 「コロナ禍だから、家で過ごします。〜できることを補う住宅改修〜」・平多職種連携の会で事例共有

いわき市内の医療、介護の関係者らが情報交換する「平在宅療養多職種連携の会」が、このほどオンラインで開かれました。福祉用具相談支援アドバイザーの作業療法士が「住宅改修」をテーマに発表。要支援・要介護状態の方の自宅を改修したことで、デイサービスに休まず通えるようになった事例などを共有。参加した理学療法士や介護支援専門員(ケアマネジャー)から相談を受けて後日あらためて情報交換する流れになり、連携が生まれていました。

 

● 3つの事例を紹介
7月の多職種連携の会は15日に開催。医師、歯科医師、薬剤師、看護師、ケアマネジャー、リハビリ職、平地域包括支援センター職員ら約40人が参加しました。発表者は「コロナ禍だから、家で過ごします。〜できることを補う住宅改修〜」と題して事例を紹介。作業療法士がご利用者様の身体や生活環境などを評価して行う住宅改修の事例を3つ、写真とともに紹介しました。一つ目は一人暮らしの要支援2・80代女性の事例。ケアマネジャーからこの女性宅の玄関先に手すりを設置してほしいと依頼を受けました。視察により、玄関先は石畳の段差になっており、女性は庭木につかまって移動していたことを把握。さらに上がりかまちが女性には上り下りが大変な高さで、脱衣場ではタオル掛けを手すりに使っている状況も見つけました。そこで、亡くなった夫がこだわった景観を損なわないように手すりを、上がりかまち付近には段差解消台と手すりを、浴室内外にも手すりをそれぞれ備え付け。梅雨や冬にデイサービスを休みがちだったという女性は、外出への安心が確保され休みが格段に減ったと改善の効果を共有しました。

 

● お試しで福祉用具使用 ご利用者様の考えに変化
独居の要介護2・60代女性を取り上げた二つ目の事例は、元々隠居として建てたバリアフリーの家に自身が住むようになり、徐々に不自由になる体や生活に不安がある場合。女性は専属大工に手すりも付けてもらったから「大丈夫」と繰り返して福祉用具の導入を拒否していましたが、実際に廊下を動いてもらうと細くわずかに出た壁の縁に指で支えて歩く状態。そこで「試しに使ってみてください」と、各ポイントに置き手すりを設置しました。すると女性は「便利なものがあるのね」と考えに変化。発表者は、発症から1年でどんどん体が不自由になったので戸惑っていた点、ケアマネジャーや訪問・病院リハ職と連携を取って対応した点を振り返りました。そのほかもう1つの事例では、家屋構造上手すり設置が難しい箇所へ階段に一部手すりを設置した事例を紹介しました。

 

● 「環境調整は自立支援の一部」
発表者は「住宅改修や福祉用具のレンタルで環境調整するのは自立支援の一部」「環境が整うことで、今までできたことができなくなった不安を安心に変える」と、ハード面での環境調整のメリットを語りました。事例で紹介した3人は「コロナで外出したくない」と言っていたようでしたが、住宅の環境調整をすることで動けるようになり介護予防につながったと説明しました。

 

● 理学療法士、ケアマネから相談
発表者と連携している住宅改修業者は、用具屋の視点が新鮮で学びがあると語り「コロナの感染予防のため、その場で見積もりを出して訪問回数を減らす体制を整えたい」と今の目標を話していました。ある理学療法士はご利用者様に用具のお試しをどう行なっているかと質問し、発表者はケアマネジャーから依頼を受けた時点で、極力細かい情報を聞き取り、最初の現地調査の段階で必要そうな物を推測して持ち込んでいると回答。その理学療法士は事例に登場した縦手すりにも興味を示し、支援のために発表者と連携を呼び掛けました。ケアマネジャーは「階段に手すりを付けたいご利用者様がいるが、コロナで家に入ってほしくないと拒まれているので、その方と信頼を築けて対応してくれる方を探している」と発表者に相談を呼び掛け。さらに「改修・用具の相談をする際にどんな情報があればスムーズか」という質問に、発表者は、基本動作、社会参加活動、困り事など基本的なポイントのほか、ご利用者様の性格も聞いていると答えました。

 

●  認知症イベントの告知
認知症関連で、いわき市地域包括支援センターの認知症支援推進員の職員が情報を提供。8月31日に平地区で「ものわすれ相談会」(市主催)のイベント(※)、アルツハイマー月間の9月に市内のスーパーで認知症の方が撮影した写真展が、それぞれ開催されると告知しました。平在宅療養多職種連携の会の山内俊明会長(山内クリニック院長)は「発表に連携しようという反響があって良かった。これが多職種連携。情報のやり取りをどんどんして、ご利用者様の安心安全を生み出してほしい」とまとめました。

 


「ものわすれ相談会」の詳細(いわき市ホームページ):http://www.city.iwaki.lg.jp/www/contents/1624242484821/index.html

 

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「訪問介護の感染症対策を共有」 2021年6月29日投稿:https://iwakikai.jp/blog/6141/

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