いわき市の障がい児通所支援施設の職員が交流する「懇談会」がこのほど、同市の児童発達支援センター「わくわくキッズ」で初めて開かれました。施設での悩みを共有して互いにケア力を高め合い、いわき全体の支援力を底上げする狙い。参加職員は「サービス報酬請求の注意点」や障がい児療育で参考になる「氷山モデル」を学んだほか、事業所での困り事をグループワークで共有。「感情のコントロールができない子の接し方」「暴れる子はどう対応すればいいか?」「連絡事項を保護者に読んでもらえない」など日ごろの悩みを打ち明け合って解決策を考えました。
● 市内ほぼ全施設から参加
地域の事業所のスキルアップを図るという児童発達支援センターの役割を果たすため「わくわくキッズ」が1月30日に主催。運営する「NPO法人わくわくネットいわき」の新妻寿雄理事長は「障がい児通所施設の職員が一堂に集まる場は県内でも初だろう」という画期的な集まり。懇談会は市障がい福祉課の安部悠一郎さんと新妻理事長、県発達障がい地域支援マネージャーの新妻陽子さんの計3人が講師を務めました。市内32の指定障がい児通所施設(今年1月1日現在・※)のうち、29施設の職員34人が参加しました。
※ 障がい児通所支援事業所一覧(いわき市ホームページ)
http://www.city.iwaki.lg.jp/www/contents/1001000000036/simple/18.pdf
● 「氷山モデル」を学ぶ
「サービス報酬請求時の注意点」を説明した安部さんは、提出されない書類の例や、サービス提供時間の重複といった請求内容の誤りなどを挙げてミスの防止を呼び掛けました。新妻理事長は「氷山モデル」を説明。かんしゃくやパニックといった行動的な課題を氷山の一角に例え、その水面下には「環境」と「本人の特性」に関する数多くの要因が潜んでいると解説しました。自動販売機の前を通ると必ずジュースを買おうと動かなくなる子どもを例題に、場当たり的に注意するのではなく、自動販売機の場所を事前に調査し、予想外の展開も想定する大切さを語り、環境と本人の特性を考慮して備えるのが支援だと訴えました。手をかんだり泣き叫ぶ理由は自閉症だからと決めつけず、その背後の理由を考えて「困った子どもではなく、困っている子どもなんだ」と訴えました。
● 「暴れる」「教えても理解してもらえない」 どうすればいい?
グループワークを前に、事前に受け付けた困り事アンケートを新妻陽子さんが回答。「学校では押さえつけるほどイライラして暴れる子が、事業所で同じ場面になったらどう対応すべきか」の悩みに、新妻さんは「命の危険がある時は押さえつけるのも止むを得ない。ただし事前に家族に説明して備え、身体拘束した時は何分間、どう抑えたかなどを報告すべき」とアドバイス。「人との接し方や不適切な行為を試行錯誤して教えても理解してもらえない」「感情のコントロールができない子の対応」といった悩みを共有。グループワークであるテーブルでは「連絡帳を保護者に伝えても読んでもらえない」という困り事の対策を考えました。障がいを持つ親や外国籍で日本語が通じない親もいるという課題が出て、「その日の子どものかわいい表情を印刷して、お母さんの興味がわくように連絡帳に張り付ける」「日本語が通じない母親には日本人の父親と連絡取れる体制をつくっておく」など参加者が取り組んでいる事例を伝え合っていました。
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<主催した「わくわくキッズ」>
「開所式」 2018年5月15日投稿:http://ymciwakikai.jp/blog-entry-471.html