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投稿:2018年09月21日更新:2021年09月22日

研修会・勉強会 医和生(いわき)会全体 山内クリニック 在宅診療 コラム - 山内宏之

405. 当法人グループのケア事例発表会①~山内宏之医師の基調講演|求人・採用・教育

今月上旬に開催された医和生会グループの看護や介護の成果を紹介する「ケア事例発表会」で、当法人医和生会理事の山内宏之医師(福島労災病院循環器科部長)が基調講演し、訪問看護師、介護士、介護支援専門員(ケアマネジャー)の計4職員が日ごろのケアの成果を発表しました。今回のテーマは「自立支援と重度化防止~医和生会として医療と介護の協力~」。山内医師の基調講演と3つの事例発表を4回続きでお伝えします。1回目は山内医師の基調講演「死に方を識(し)る~やがてかならず迎える終末期に備えて」。

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↑「死に方を識(し)る~やがてかならず迎える終末期に備えて」と題して基調講演した山内医師=2018年9月3日、いわき市総合保健福祉センター

<要約>
山内医師は穏やかな終末期を過ごすには「死」から目をそらさずに向き合い、死に備える心構えが大切だと繰り返し訴えました。そのためには、終末期の医療や介護、準備の仕方などについて、一般の方々にもっと知って頂くことが重要であると主張。実際に行われている終末期の医療について説明し、いつごろ、どう考えていけばよいかのアドバイスもしました。また「医和生会グループは我々の識っている医療や介護のことを理解しやすいようにまとめて伝えていきたい」という目標も。脳に障がいを抱えた植物状態の幼い愛娘を例に、生きる意味と、そう遠くない将来迎えるであろう死について、自ら実際にどう考え、備えているのかを語りました。

● 必ず迎える死 納得できる終末期を迎えるために
山内医師ははじめに「すべての生き物はいつか必ず死を迎えるが、これは自然の摂理」と、どれだけ医療が進歩しても死は避けられない現実を語ります。また、一方で自らの人生の終末期と死の迎え方について、明確な考えを持つ人はごく一部であるとも述べます。世界一の超高齢化社会となり、超高齢者の一人暮らしや老老介護が珍しくなくなりつつある日本の現状において、肉体的、精神的に余裕があるうちに、納得できる終末期を迎える方法を家族みんなで考えてほしいと呼び掛けました。現状では終末期の迎え方は誰も教えてくれないため、考え方が分からない問題もあると語りました。

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● 延命治療は必要? どう最期を迎えたい?
終末期の考え方について、まずは終末期における医療について解説。かつては心筋梗塞などによる突然死やガンですぐに亡くなるケースが多かったが、医療が進歩した現在では心不全、腎不全、脳疾患などの臓器不全や老衰で徐々に弱りながら死を迎えるケースが多いと説明しました。臓器不全や老衰では内服薬、点滴薬、酸素吸入、リハビリ、食事療法など体に負担の少ない治療をしますが、効果が出ないと「人工呼吸器」「人工心肺装置」「血液透析」といった負担の大きい「延命治療」を選択する場合も。ですが、病状が回復せず心身に大きな負担を受け続ける延命治療が「必ずしも患者の幸せにはつながらない」と述べ「誰のために、何のために行うのかをあらためて真剣に考えて欲しい」と強く訴えました。さらに「在宅医療や緩和医療をよく識って頂き、自分がどんな最期を迎えたいのか、医師や支えてくれる人と話し合っていく事が一番大事」と語りました。

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● 終末期 いつごろ、どう考えていくか
終末期の準備の考え方も解説。ライフステージを基に、終末期について「考えてもよい段階」と「考えるべき段階」を紹介しました(※)。考えるトピックとして、「どこで生活する?」「お金は足りる?」「だれが面倒見る?」「認知症が悪化したら?」「歩けなくなったら?」「食事を作れなくなったら?」「食べられなくなったら?」「最終末期の医療はどうしたい?」を挙げ、将来を見据えて相談し合うのが大切とアドバイスしました。


終末期を考える段階の表 (640x477)

● 医和生会グループとしてできる事は?
「終末期がどのようなものかを知っている市民は少なく、教える人や書物もごく限られている」と山内医師。そのため終末期を考えるきっかけを広く市民に提示できるよう、医和生会グループが日ごろから取り組んでいる医療や介護の現場を動画や写真にまとめて、分かりやすく伝えていきたい思いも語りました。

● 娘の介護と人生 自らの考えを明かす
最後に、山内医師は障がいを抱える自らの次女を紹介しました。現在も意識はなく、声も出せず、寝返りもできず、気管切開をして酸素吸入し、食事は飲み込めずに経鼻胃管で栄養摂取している状態だといいます。山内医師は次女の今と先を考えます。今は自宅で生活し、父の山内医師、祖父母の山内俊明理事長(医和生会)と山内真理子専務理事(同)が中心となって介護をしていますが、祖父母が衰えて介護ができなくなった場合にはどうするか、さらには山内医師が他界した場合はどうするかなどについても考えており、誰が、どこで介護をつづけるか、経済的な問題はどうするか、どのような医療までを望むかなど、高齢者における終末期と同様に次女の今後を案じ、考えていると明かしました。そして、次女がこの世に生を受け、生きている意味を考え、「この子のおかげで家族が団結している。皆で協力しあって幸せになれる。いずれ僕より先に死んでしまうと思うけど、意味と実りのある人生にしてあげたい。そのためには家族が仲良くあり続け、仲間といい仕事をしていって、我々が人生を楽しまなければならない」と、自身の考えを披露しました。「患者さん、家族、職員のみんなが幸せになれる医療と介護を実現していこう」とまとめました。

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「ケア事例発表会」は9月3日、いわき市総合保健福祉センターで開かれ今年で4回目。

<つづく>

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<今年のケア事例発表会>
「在宅復帰を実現・介護職員の菅沼」

「老老介護の患者にケア・訪問看護師」

「ケアガイドライン制作プロジェクト・いわきの里」

 

<医和生会(いわきかい)の求人・採用情報>

医和生会は1年以内の新卒離職率0%!新卒フォロー面談や「若手ラボ」といった教育支援を通して、若手職員の定着につなげています。
https://iwakikai.jp/recruit/