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投稿:2018年09月15日更新:2022年12月26日

多職種連携・地域連携

401. 「認知症の連携」「初期集中支援チーム」 約150人聴講・平在宅療養多職種連携のつどい

いわき市平地区の医療・福祉関係者が交流する「平在宅療養多職種連携のつどい」がこのほど、同地区のいわき芸術文化交流館「アリオス」で開かれました。医師と市職員による「認知症の連携」「認知症初期集中支援チーム」をテーマにした講演を通し、約150人が理解を深めました。「運転免許の更新時」や精神疾患が疑われる場合といった、認知症診断を依頼するためのポイントを確認したり、「集中支援チーム」につなぐため早期発見の重要性を共有。講演後には懇親会も開かれ、ケアの向上のため医療や福祉関係者が「顔の見える関係」を深めました。

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● 認知症ケアの初期連携のため「早期発見」「正しい診断」など重要
平地区の新田目病院の菅野智行院長は「認知症に関わる連携~専門医紹介のポイントとタイミング」と題して講話。今後も高齢者とともに認知症者も増えていくデータを示し、細やかなケア力の向上のためには「『家族・地域』『福祉・行政』『介護』『医療』がそれぞれ連携するのは必須」と訴えました。認知症者ケアの初期の連携のために大切なポイントは、「いつもと違う」変化に気付く「早期発見」、病気や病状を評価する「正しい診断」、方針を検討する「的確な対応」と説明。「日中ぼんやりしている」「活気がない」お年寄りの受診前に確認すべき点は、「意識レベル」、発熱や脱水、低血糖などの「身体疾患の可能性(バイタルチェック)」、副作用や飲み間違いといった「薬物の影響」、「睡眠障害」の4点を挙げました。

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↑「認知症に関わる連携~専門医紹介のポイントとタイミング」と題して講話した新田目病院の菅野院長

● 専門医紹介のポイントは?
認知症の診断を依頼する専門医紹介のポイントでは、「認知症の疑い」で診断書提出を求められた「運転免許の更新時」、認知症か軽度認知障害(MCI)の判断に迷う時、認知症以外の精神疾患が疑われる場合、認知症の原因疾患の診断に迷う場合などがきっかけになるとアドバイス。認知症に伴う精神症状や問題行動の治療を依頼するポイントでは、「家庭や施設で対応困難で、薬物治療が必要なBPSD(周辺症状)が持続している」「抑肝散やリスぺドンなどが奏功しない」「副作用などから向精神薬の調整が必要」「認知症治療病棟での治療が望ましい」場合だと語りました。BPSDの薬物療法では「漫然と処方しないで副作用に注意して、具合が悪くなったら止めてください」と呼び掛けました。ケアの方法では「ユマニチュード」を紹介。菅野院長は「認知症ケアでは、本人や家族が『終末期に大切にしたい事』を達成できるように取り組むのが大事」と話しました。

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↑「認知症初期集中支援チームについて」と題して講演した市地域包括ケア推進課の佐藤係長

● 「認知症初期集中支援チーム」 導入の背景は?
市地域包括ケア推進課の佐藤和幸係長は「認知症初期集中支援チームについて」と題して講演。専門職が医療や介護につながっていない認知症の方などを対象に訪問して初期支援を集中的に行い、自立生活の筋道を立てるのが目的。いわき市の体制は認知症専門医、看護師、保健師、精神保健福祉士で構成されています。家庭訪問し、医療と介護職がチーム支援を行います(※)。このチームを国が導入した背景は、認知症が重度化してから相談するケースが多いため。BPSDが悪化し家族の介護負担が大きくなる前に対処する狙いがあります。「初期」とは、①認知症のステージ上での早期段階、②認知症者に関わるファーストタッチの2つの意味があるとし、理想は①としながらも現在は②が中心になっている課題を挙げました。市民に早期発見・対応の意識が浸透しておらず、啓発の重要性を語りました。


国立長寿医療研究センターの平成28年度認知症初期集中支援チーム員研修テキスト(http://www.ncgg.go.jp/kenshu/kenshu/documents/H28tekisuto.pdf)より:

国資料
国の資料・認知症初期集中支援チーム (640x453)

● 「早期対応が重要」
いわき市の本年度の支援実績(2018年7月末現在)では、ケース数9件(昨年度・13件)、訪問回数20回(同・41回)、会議開催数3回(同・9回)で、1会議での検討数は9.6ケース(同・5.4ケース)。「ケース数や検討数は増えている」と佐藤係長。昨年度の把握経路は、多いのは家族4件、地区保健福祉センター3件、介護支援専門員(ケアマネジャー)2件。相談内容は困難ケースが多く、家族も介護をあきらめ協力してもらえない状況に陥っている場合もあり、佐藤係長は「早期対応が重要」と訴えました。今後は、チーム員の増員などにより体制強化を図る予定といいます。さらに早期発見をうながすために関係団体に働き掛け、認知症サポーター養成講座やオレンジカフェなどで広報、児童向け認知症教室の開催といった市民啓発に力を入れていくと語りました。

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↑講演後には懇親会も

● 懇親会も
講演会後には懇親会を開催。同日夜、「アリオス」前の公園で市地域包括ケア推進課が主催する「いごくフェス」の前夜祭も開かれ、ビールを飲みながら音楽を楽しむ参加者も。懇親会に顔を出すフェス来場者もおり、交流を広げていました。

【関連情報】
いわき市認知症初期集中支援チーム(いわき市ホームページより):http://www.city.iwaki.lg.jp/www/contents/1466035692198/index.html

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「去年の平在宅療養多職種連携のつどい」2017年9月22日投稿:http://ymciwakikai.jp/blog-entry-296.html

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