要介護認定の審査に欠かせない主治医意見書を学ぶ説明会がこのほど、いわき市のパレスいわやで開かれました。市内の医療・介護福祉の関係者約150人が20グループに分かれ、事例に沿って“担当者会議”を開き、終末期患者の望む生活を実現させる課題を共有。その後、いわき市医師会介護福祉担当の山内俊明理事(当法人山内クリニック院長)が主治医意見書の役割を説きました。
● 主治医意見書 注意項目を確認
市医師会が2月13日に主催し、「主治医意見書」をテーマに医師のみでなく医療・介護関係者も加わるようになって今回で5年目。医師、歯科医師、薬剤師、理学・作業療法士、言語聴覚士、医療ソーシャルワーカー(MSW)、看護師、介護支援専門員(ケアマネジャー)、小規模多機能型介護施設、グループホーム、行政、地域包括支援センターの職員が集まりました。「在宅療養」を希望する一人暮らしの男性(78)の事例が紹介された後、MSWがその男性の主治医意見書を解説。注意項目で、点滴や透析などを記す「特別な医療」は要介護認定の審査に影響しやすく、移動や栄養・食生活をチェックする「生活機能とサービスに関する意見」はケアマネジャーがケアプランを作成する上で重要だと共有しました。
● 人生会議を充実させるには
男性の主治医意見書やほかの情報を基に、参加者はグループワークで退院後の在宅療養を支えるための課題を議論。望む医療ケアを家族や医療チームと話し合う「アドバンス・ケア・プランニング」(ACP・愛称「人生会議」)(※)を充実させるための方法も話し合いました。あるグループは「人生の最期をどこでどう迎えたいか」を傾聴するとともに、家族の支援の確認が大事と発表し、食欲不振のため言語聴覚士の指導や褥瘡(じょくそう)も見られるので理学療法士による姿勢のアドバイスも大切など具体的なアイデアも出ました。患者の希望を叶えるためには多職種連携が欠かせないと確認。「死に方」がテーマで議論しにくい「人生会議」を開くタイミングは、手術や症状が変化した時、在宅移行時などがいいという意見も。発表者は「家族が『在宅介護がこんなに大変だと思わなかった』という可能性も出てくる」と、患者や家族の些細な変化に気付いて柔軟に対応する心掛けも共有しました。
※
「人生会議とは(厚生労働省ホームページ)」:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_02783.html
● 主治医意見書の役割確認
山内理事は「地域包括ケア時代の多職種連携と主治医意見書の役割」と題して講演。主治医意見書の狙いが、介護の手間の程度、状態の維持・改善の可能性の評価、ケアプラン作成時の活用などにあると説明。介護認定審査会で指摘される注意点では、作成期限の大幅な遅れ、判読不能な文字、枠外の記入、専門用語や略語の記載などを挙げました。さらに患者の望む医療の考えが変化したのに気付いたら、家族に人生会議をうながすよう呼び掛け「考えは後で何度でも変えてもいい」と説きました。その後懇親会を開き、参加者が談笑を交わして「顔の見える」関係をつくりました。
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「2018年の主治医意見書説明会」 2018年2月17日投稿:http://ymciwakikai.jp/blog-entry-407.html