いわき市常磐・遠野地区の中地域ケア会議(※1)がこのほど、常磐公民館で開かれました。両地区でのつどいの場づくりの経過、本年度の介護フェアの様子、講演の集客の課題などが共有されました。来年度も「いきいき健康塾」を継続するほか、認知症者の捜索模擬訓練を街中で実施するのを決めました。
※1 中地域ケア会議とは
医療・介護・予防・住まい・生活支援の発展へ住民が支え合う地域づくりをめざそうと、国は2015年4月、市町村の努力義務として「地域ケア会議」の設置を法制化しました。これを受けていわき市は同年、「個別ケア」、「小地域ケア」、「中地域ケア」、全市レベルの「市地域包括ケア推進」の計4層の会議でつくる「いわき市地域ケア会議」を設置。「中地域ケア会議」は全市レベルと学校区・行政区レベルの間の中間層に位置し、地区保健福祉センターが主催。市内には7地区ごとに設置されています。同地区の中地域ケア会議は「健康と生きがいづくり」「高齢者生活安全」「医療と介護連携促進」の3部会ごとに活動。本年度の委員は21人(※2)です。本年度2回目の会議は2月14日に開かれました。
※2
つどいの場づくりモデル 来月イベント予定
「健康と生きがいづくり」部会は、常磐地区のオレンジ薬局脇のコミュニティスペース「いごくボックス」と遠野地区の上遠野小学校を利用した「つどいの場」づくりの経過を報告。地元住民らでつくるワーキンググループが各地区で組織され、定期的に話し合っています。「いごくボックス」では11月に「わくわくまつり」を開き、子どもからお年寄り約40人が小物作りやアロマ体験、体操、ゴスペルコンサートなどを楽しみました。来月30日には子どもが集まれる「コミュニティ食堂」を予定しています。上遠野小学校では先月給食試食会を実施。主にお年寄りが小学校時代の思い出話で盛り上がり、興味に合ったイベントを「今昔給食談議」と銘打ち来月8日に開催します。
委員は「『やって終わり』ではなく、住民が主体的にできる場所にしてほしい」と定着を期待。ワーキンググループを務める委員は「今の子どもが大人になっても地域とつながるような、世代を越えた交流を生み出したい」と、来年度も議論を重ねていく方針。薬局に勤める委員からは「周知のために薬局を利用してほしい」とPR協力の提案も出ました。
声掛け訓練 模範演技の必要案も
「高齢者生活安全部会」は、去年10月13日に行われた、常磐地区介護フェアでの認知症声掛け訓練(※3)を報告。反省は、認知症者役が会場内を歩き回ったが、積極的に声を掛けてくれる参加者が少なく「声掛けの仕方が分からない」「声掛けが難しい」との声も出ました。声掛け実践の前に寸劇で模範を披露するのが効果的ではないか、といった改善案も出ました。今後は介護フェアとの同時開催にこだわらず、様々な地区での開催を検討します。委員からは、JR常磐線「湯本駅」周辺の商店街を巻き込んだ認知症者声掛け訓練の提案が出ました。PRも兼ねて店員らにも協力を呼び掛け、街全体で認知症に理解を深めようと、10月の開催を目指します。
認知症勉強会の参加者「勉強した事を家族に伝えたい」
「医療と介護連携促進部会」は、本年度は11月までに実務者協議会や出前講座、介護フェア(※4)などの6つの啓発活動を展開。認知症勉強会では参加者75人が集まり、「予防のために運動を続けたい」「勉強した事を家族にも伝えたい」と好評の声も上がりました。課題では集客数が伸び悩み、周知方法の検討の必要性を共有。今後は介護相談の多い地区を選定して出張相談などを行い、介護予防や保険の啓発に努める方針を示しました。委員は「10、20年先を考えながら、一丸となって市民に啓発していこう」と決意を新たにしていました。
「健康塾」 参加者増へ見直し検討
来年度の「常磐・遠野いきいき健康塾」の計画案も発表されました。4月から来年3月までの計13回を予定。応募者数は2月13日現在18人で、本年度の参加者31人を下回っている現状を確認しました。参加者を増やすために将来は、年齢制限を65歳以上から引き下げ、開催場所の見直しの検討も示されました。委員からは「入塾条件の『卒塾後、介護予防活動に協力できる方』という項目でみんな尻込みしている」という緩和案も出ました。
「いわき市地域包括ケア推進会議とは(いわき市ホームページ)」:http://www.city.iwaki.lg.jp/www/contents/1001000000097/index.html