〒970-8036 いわき市平谷川瀬一丁目16-5

0570-080825

ブログ

BLOG

投稿:2018年07月10日更新:2021年05月11日

多職種連携・地域連携

355. 生活困窮や虐待 地域で支えるぞ・飯野地区地域ケア会議(平第5方部)

生活困窮や虐待が課題とされ住民の支えが求められるいわき市平の飯野地区でこのほど、地域ケア会議(※記事末尾に解説)が同市の飯野公民館で開かれました。かつて母親の死亡を隠し年金を不正受給した生活困窮に関わる事件も発生したこの地区では、孤立を防ごうと住民同士支え合える地域づくりが進められています。出席した地区住民や介護事業所の職員らは、住民の支援事例も共有。グループワークを通して虐待防止や生活困窮者への支援方法を考えました。

DSC_3061 (640x428)

● 男性の孤立防止 昨年度に「男の料理教室」
本年度1回目の飯野地区の地域ケア会議は6月29日に開催。飯野地区内の区長(15行政区)、民生児童委員、「つどいの場」の代表者、高齢者見守り隊長、婦人会、介護支援専門員(ケアマネジャー)、いわき市障害者相談支援センター、特別養護老人ホームの職員、いわき市理学療法士会など、当法人居宅介護支援事業所の職員を含めた63人が出席しました。去年のケア会議の報告では、虐待の要因となる男性の孤立防止、介護ストレス軽減を狙ったイベント「飯野地区 男の料理教室」を振り返り。昨年度3回開催して各回19~24人が料理、試食、軽体操、片付けを全員で楽しみ、「家族に作ってあげたい」「知り合いができた」「男性のみで交流しやすい」などの意見が報告されました。

DSC_3055 (640x428)

● 住民が生活困窮者に食事提供や声掛けする例も紹介
1世帯に複数の福祉問題を抱える「複合ニーズ世帯」(お年寄り、障がい者支援)を取り上げた飯野地区の事例では、平地域包括支援センターといわき障がい者相談支援センターの職員が発表。①「男の料理教室」のメニューを使って介護ヘルパーと料理を楽しみ、前向きになった一人暮らし80代男性、②80代の母親をネグレクトする50代の息子、③両親が他界し生活困窮になった女性、④意欲に応えて福祉的就労へつながった知的障がい疑いの70代女性の計4ケースが取り上げられました。②では住民が異変に気付いて関係機関につなぎ、③は生活困窮の女性に住民が食事提供や声掛けなどし、飯野地区の「制度の隙間を地域で支えた」事例を紹介しました。

● 「虐待増加に驚いた」「民生委員に連絡するの大事」
グループワークでは、参加者が6グループに分かれて「地域でできること」「地区事業所が協力できること」を話し合いました。あるグループでは、住民の生活状況を把握する困難さが話題に。「個人情報の問題で新しい住民を見つけられない」「昼は留守で夜は鍵を閉めて出てこない人がいる」「外国人もいて言葉が分からず対応できない」などの声も。各グループの発表では「虐待増加に驚いた。現状を知らなかった」「虐待の判断が難しい」「異変に気付いて、民生委員たちに連絡するのが大事」「障がい者の理解が不十分」などさまざまな意見が出ました。それを受けて「虐待予防の勉強会を開く」「男性よりも女性の方に情報が入りやすいので、婦人会に生活状況の把握をお願いする」「ケアマネジャーと住民が顔の見える関係をつくる」「警察官、包括支援センター職員、事業所、区長の集まる機会をつくって情報交換する」「障がいの疑いに気づく」などの具体策が挙がりました(各グループの案は以下の写真)。今後は、すべての人が年齢や状況を問わずにニーズに応じた適切な支援が受けられる地域づくりを目指し、まずは「子どもから高齢者までの虐待予防ネットワーク構築」を検討して地域でできることから始める予定です。

DSC_3074 (640x428)
DSC_3075 (640x428)


超高齢化社会に備えて住民の代表者が議論するいわき市の「市地域ケア会議」は、全市レベルの「市地域包括ケア推進」、7方部に分けた「中地域ケア」、行政区・学校区で分けた「小地域ケア」、「個別ケア」の計4会議で構成されます。飯野地区は小地域ケア会議「基幹型」になります。飯野地区地域ケア会議は2016年度から、平地域包括支援センターが年2回主催しています。
201712221639399dd (640x480)

【関連記事】
<いわき市地域ケア会議>
2017年度:http://ymciwakikai.jp/blog-category-35.html
2018年度:http://ymciwakikai.jp/blog-category-39.html