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投稿:2018年07月06日更新:2021年05月11日

多職種連携・地域連携

352. いわき市内郷・好間・三和地区で市初の「認知症地域相談窓口」・薬局が認知症疑いのお年寄り発見し関係機関につなぐ

認知症者を早期発見できる地域づくりをめざしているいわき市内郷・好間・三和の3地区では、市内初の「認知症地域相談窓口」が開設されています。住民の認知症相談や関係機関との「つなぎ役」を目的に薬局や介護事業所でつくるこの窓口。今年4月に誕生後、内郷地区の薬局が認知症の疑いのあるお年寄りを発見して関係機関につないだ初めてのケースがこのほど確認されました。患者家族からの苦情の恐れなどから通報を迷う事業所もある中、今回つないだ薬局は地域包括支援センター職員と築いた信頼関係が連絡の決め手になったといいます。窓口を設置した3地区の中地域ケア会議(※記事末尾に解説)は今月10日、好間地区で開設記念講演会を開催(※記事末尾に案内)するほか、認知症の進行に合わせた支援情報を分かりやすくまとめた「認知症ケアパス」も作成中です。

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↑認知症の疑いのあるお年寄りを発見し、関係機関につないだ光栄薬局高坂店

● 関係機関との「顔の見える関係」大事
内郷・好間・三和地域包括支援センターにつないだのは光栄薬局高坂店。毎月1回来店するお年寄り男性から尿臭を感じ、認知症の疑いがあるのではと5月下旬に連絡しました。男性は昨年末から尿臭を発するようになり、来店する度に臭いがきつくなっていたといいます。同店の吉田敏正薬局長は、多職種連携のイベントや「地域相談窓口」の説明会などで包括支援センター職員と会う度に、認知症の早期発見の協力を強く受けていたといいます。吉田薬局長は「『顔の見える関係』ができてコミュニケーションが取りやすくなったのは大きい」と通報の決め手を語ります。「包括の方が『認知症の疑いがあるから訪問する』のではなく、事を大きくしないよう『地域の生活見守りの一環で確認に行く』というので安心した」とも。さらにチームプレイでの発見を強調し、全職員が日ごろから患者の変化に気付くよう心掛けていたのも大事な要因だったと吉田薬局長。男性が再び来店した先月には尿臭も無くなっていたといいます。

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↑発見と連絡には「関係機関との顔の見える関係」と「職員のチームプレイ」が大事と語る吉田薬局長

● 認知症者の早期発見へ
内郷・好間・三和地区の住民代表や医師、介護事業所の職員らが議論する中地域ケア会議(市地区保健福祉センターが主催)は2017年度から「認知症部会」を設置。認知症が早期発見できればよりよい対策が取れるものの、重度化してから相談を受けるケースが多発している背景から、患者本人や家族、地域住民がささいな異変を感じた際に身近に相談できる場所をつくろうと「認知症地域相談窓口」を計画。地区内の薬局と介護施設の計40事業所に参加を呼び掛け、内郷地区は25、好間地区は5、三和地区は3の計33事業所が手を挙げました。協力内容は「認知症相談対応」、認知症者の発見や患者・家族の困り事を関係機関に届ける「つなぎ役」、長期的目標では認知症者や住民との「交流の場づくり」です。6月末現在、この窓口から関係機関に連絡が入った例は先の1件のみです。

● 今秋には「窓口」参加事業所で情報交換会
同地区の中地域ケア会議は今秋、「相談窓口」に参加する事業所を集めて情報交換会を開き、参加事業所同士が一丸となって認知症者の早期発見につながる改善策を探る計画です。 市内郷・好間・三和地区保健福祉センターの白土典子係長は「地区住民への啓発が大きな課題」と語り、「相談窓口」を記載したチラシも作成中で近くスーパーマーケットや薬局などに置いてもらう予定です。さらに地区住民へのPRも兼ねた開設記念講演会「”老い”に備える~認知症とお薬の話」が今月10日午後2時から、好間地区のいわきの里「サンシャインよしま」で開かれ、竹林貞吉記念クリニックの松田徹院長と市薬剤師会の薬剤師が講演します。本年度中に「認知症ケアパス」を完成させ来年度配布する計画もあり、認知症者でも安心して暮らし続けられる地域づくりが進んでいます。

※ 中地域ケア会議とは?
医療・介護・予防・住まい・生活支援の発展へ住民が支え合う地域づくりをめざそうと、国は2015年4月、市町村の努力義務として「地域ケア会議」の設置を法制化しました。これを受けていわき市は同年、「個別ケア」、「小地域ケア」、「中地域ケア」、全市レベルの「市地域包括ケア推進」の計4層の会議でつくる「いわき市地域ケア会議」を設置(1)。「中地域ケア会議」は全市レベルと学校区・行政区レベルの間の中間層に位置し、地区保健福祉センターが主催。市内には7地区ごとに設置されています。

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【「認知症地域相談窓口」開設記念講演会 “老い”に備える~認知症とお薬の話】
日時:2018年7月10日午後2~3時半
場所:サンシャインよしま(福島県いわき市好間町北好間外川原33-1)
講演:認知症の理解と予防(竹林貞吉記念クリニックの松田徹院長)・お薬の話(いわき市薬剤師会の薬剤師)
参加対象:好間地区住民
定員:50人
申し込み:内郷・好間・三和地区保健福祉センター(0246-27-8691)

<いわき市初の「認知症地域相談窓口」開設のお知らせ>
チラシ・中地域ケア1

チラシ・中地域ケア2

【関連記事】
「今年6月の内郷・好間・三和地区中地域ケア会議。本年度の取り組みを協議」 2018年6月26日投稿:http://ymciwakikai.jp/blog-entry-503.html

<いわき市地域ケア会議>
2017年度:http://ymciwakikai.jp/blog-category-35.html
2018年度:http://ymciwakikai.jp/blog-category-39.html

<認知症多職種協働研修会>
「認知症の早期発見を協議。『薬局がおかしいと気づいたら医師に連絡する』など関係機関につなぐ重要性の意見が出ていた」 2018年3月13日投稿:http://ymciwakikai.jp/blog-entry-426.html