いわき市平地区の医療や福祉関係者らが交流する「平在宅療養多職種連携の会」がこのほど、同地区のタローズカフェで開かれました。あんざいクリニックの安齋光昭院長が「自分らしい『生き』『死に』を考える」と題して講話。医師、薬剤師、訪問看護師、介護支援専門員(ケアマネジャー)、訪問ヘルパー、行政職員ら約50人が出席し、終末期に関する国民の意識を考えました。
↑「自分らしい『生き』『死に』を考える」と題して講話した安齋院長(あんざいクリニック)
● 家族に迷惑掛けたくない? 不自由になると「居宅」希望者減
安齋院長は、厚生労働省の「人生の最終段階における医療に関する意識調査(※)」を基に国民の終末期に関する考えを紹介しました。終末期を過ごしたい場所については、痛み無く食事も取れて判断力もある末期がんのケースだと「居宅」希望者が71.1%なのが、食事や呼吸が不自由になった末期がんの状態だと37.4%に減少。安齋院長は「家族に迷惑を掛けたくないのか」と推測し、状態が悪化するほど終末期を医療機関や施設で過ごしたがる国民の意識を確認しました。厚生労働省が勧める終末期患者の治療を決めるガイドライン(※2)の利用状況では、「知らない」と回答した医師が3割、看護師が4割、施設介護職員が5割と説明。「医療従事者は患者の状態が悪化してから家族に希望を聞きがち」という安齋院長は「(判断能力のない患者には)生い立ちや考え方、価値観を家族に聞いて治療判断を推定する」と、判断能力のない患者への対応を紹介しました。ガイドラインの概要や治療方針を決定する流れも解説。胃ろう問題、リビングウィルのほか、尊厳死の法制化の現状、意志決定能力低下に備えて治療方針や価値観を患者、家族、医療者が共有する「アドバンス・ケア・プランニング」(※3)などについても説明しました。
※1. 「人生の最終段階における医療に関する意識調査」厚生労働省HPより:http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/saisyuiryo.html
※2. 「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」厚生労働省HPより:http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000197665.html
※3. 「アドバンス・ケア・プランニング」 厚生労働省HPより:http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000173561.pdf
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