認知症などで判断能力のない方をサポートする「市民後見人」を対象にした「フォローアップ研修」がこのほど、いわき市総合保健福祉センターで開講しました。当法人グループの地域密着型特別養護老人ホーム「サンシャインよしま」の副主任・蔦裕通が「認知症高齢者の理解」をテーマに講話。財産管理や契約などの意思決定ができなくなるお年寄りが増加する中、サポートしようという市民後見人は研修を通してさらなる知識を身に付けています。
● 判断できない方々を助ける後見人
認知症や知的障がいなどを抱える方々が自分で、介護サービスや施設入所の契約を結んだり、貯金や不動産を管理したりするのは困難。そういった方々の判断を手助けする後見人受任者を増やす必要性が高まり、いわき市権利擁護・成年後見センターは2015(平成二十七)年度、市民後見人の養成講座をスタートしました。昨年度までで2期(1期2年)を終え、活動を希望している市民後見人候補者計19人が「市民後見人バンク」に登録されています。そのうち家庭裁判所から選任されている市民後見人は現在4人。養成講座後も知識を深めていこうと「フォローアップ研修」が毎年4回開かれています。
● 認知症ケアを学ぶ
本年度初のフォローアップ研修は5月25日に開催。市権利擁護・成年後見センターの職員がオリエンテーションとして市民後見人のガイドラインを説明し、認知症ケア専門士の蔦は「認知症高齢者の理解 認知症高齢者の心の中はどうなっているのか?」と題して講義しました。蔦は認知症に関するタイムリーな新聞記事や心理ゲームを交えて講話を進行。物忘れした自覚もなくなるという認知症の特性やアルツハイマー型などの認知症の種類を説明しました。記憶や判断力、見当識などの症状は認知症の中核症状と呼ばれ、現在の医療では治療ができないといいます。その中核症状によって引き起こされるうつ、不安・焦燥、幻覚、暴言暴力、徘徊・多動などの周辺症状(BPSD)は、緩和、改善の可能性があると解説しました。
● 認知症の方と接する心構え
認知症の方に接する基本的な態度で、蔦は「先入観を捨てて」とアドバイス。「どうせすぐ忘れるだろう」「関わるのが大変な利用者」などと決めつけず、表情を見つめてしっかりと話を聴いてほしい、と話しました。認知症者は「自分が自分でなくなる」「日常生活ができなくなる」「希望を失う」「自分だけ別の世界に生きる」といった苦しみを感じるといいます。認知症の方と接する心構え(※1)と具体的な方法(※2)も紹介しました。
※1 認知症の方への対応心得「4つの『ない』」
①驚かせない
②急がせない
③自尊心を傷つけない
④否定しない
※2 コミュニケーションの具体的な方法
①ゆっくり、はっきり話す
②答えを急がせない
③話を中断しない
④目を見て話す(「あなたに話してますよ」と伝える上で大切)
⑤認知症の人が理解できる言葉を使う(ただし子ども扱いする言葉は使わない)
⑥動作一つ一つに声掛けする
⑦ジェスチャーを活用する
● 今秋に3期目の市民後見人養成講座
本年度のフォローアップ研修は8、11、2月に開催し、障がい者の理解や施設見学、後見計画の作成などに取り組みます。今後も市民後見人を増やしたいと考える市権利擁護・成年後見センターは、今秋に3期目の養成講座を開講する予定です。
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「成年後見制度とは?・いわき市権利擁護・成年後見センター主催の研修」 2019年1月29日投稿:https://iwakikai.jp/blog/179/
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