いわき市常磐地区に「湯本駅前ミニシアターKuramoto」という託児付きの映画館があります。オーナーの「子育て中も映画を楽しみたい」という想いから生まれました。先月は親子で楽しめる上映会が開かれ、ママもゆっくりと映画を楽しみました。懐かしの映画を観たお年寄りが楽しく語り合う交流なども生まれています。
↑おしゃれな本棚、可愛らしいクッション。靴を脱いであがり、くつろいで映画を鑑賞できます
●子育て中のパパママにも映画を楽しんでほしい
運営しているのは蔵田悠子さん(41)です。駅前で空き店舗となっていた3階建てのビルを購入したのは悠子さんのご主人で、「いつか誰でも立ち寄れる交流スペースにできたら」と思い描いていました。会社員として働くご主人に代わり、具体的に活用法を考えたのが悠子さん。現在1歳の子どもを育てている悠子さんは「子育て中は映画館に行けないし、ゆっくり映画を楽しむ時間がない」と感じ、そこから「映画館をやってみよう」と思いつきました。「自分と同じように映画を楽しみたいパパやママも多いだろう」と託児受け入れも検討。2階をシアタールーム、3階を託児スペースに改装し、2019年2月に映画館をオープンしました。映画配給会社「ユナイテッドピープル」と契約し、月に7本ほど映画を上映しています。
↑オーナーの悠子さん。穏やかで優しい人柄が魅力的です。
●楽しく語り合う交流の場にも
オードリーヘプバーンが主演する映画「シャレード(1963年公開)」を上映した5月。「当時付き合っていた人と観た映画なの」と嬉しそうに話す80代のお客様に、悠子さんは出会いました。同年代のお客様と映画が終わってもその場に残り、楽しそうに語り合う様子を「すごく素敵だなぁ」と感動した悠子さん。「15人も入ればいっぱい。『満員にしたい!』とはあまり思ってなくて、皆さんにゆったりと過ごしてほしい」と語りました。
先月23~25日にはイベント「パパママと一緒に映画を観よう」を開き、子どもの胎内記憶に焦点を当てたドキュメンタリー「かみさまとのやくそく」を上映しました。チャイルドマインダー※の資格を持つ悠子さんが託児。上映中、お子さんは一度も泣かず、ママはゆっくりと映画を楽しみました。オープン以来、初めての託児で緊張していた悠子さんにとって、自信につながる出来事でした。
※チャイルドマインダーとは…0~12歳の子どもを対象に、少人数制の家庭的な保育サービスを実施する専門職。
↑3階の託児スペース。「おもちゃなどを寄付してもらえたら嬉しい」と悠子さん。
●外出のきっかけになってほしい
映画館は温泉街が広がり、カフェなども建ち並ぶ駅前商店街にあります。「テイクアウトした食事を食べながら」「日帰り入浴の帰りに」といった楽しみ方もできます。普段は家の中で過ごしているママやお年寄りの方にとって、「映画が外出のきっかけになってほしい」と悠子さんは願い、今後もさまざまなイベントを企画していくそうです。
【店舗情報】
湯本駅前ミニシアター Kuramoto
住所:〒972-8321福島県いわき市常磐湯本町天王崎32-3
営業日:火・木曜(※祝祭日休)
営業時間:11:30~15:30(映画上映は12:00~)
鑑賞料金:大人 700円 12歳以下100円(上映する映画によって料金が変わる場合もあります)
連絡先:080-2109-6385
*上映プログラムなどはFacebook(https://www.facebook.com/eigatofuro/)で確認できます。