いわき市平地区の医療・介護・福祉関係者が交流する「平在宅療養多職種連携の会」がこのほど、オンライン上で開かれました。「行政書士から見た認知症対策」をテーマに、行政書士が発表。相続問題など起こらないよう、参加者は意思決定ができるうちの対応の大切さを確認しました。
● 終活と介護の相談センターを設立
医師、歯科医師、薬剤師、介護支援専門員(ケアマネジャー)、介護職員、リハビリ職など25人が参加し、12月19日に開かれました。発表者は家庭での辛い経験を経て「苦しむ人の助けになりたい」と行政書士を目指したという。資格を取得するまで介護施設で働いたほか、要介護5の父の介護、介護認定を受ける前に義母が亡くなった苦い経験などもし、「終活と介護は切り離せない」と思うように。それで今年7月に「終活と介護の相談センター」を立ち上げた経緯を紹介しました。
● 各専門家につなぐ
この相談センターは、「終活と介護」の悩み相談を受けた際、各種専門家に繋ぎ介護保険適用外の支援に結びつけると紹介。発表者が担う「相続」の相談のほか、「終活・お金」「介護」「看護」「法律」「生前整理」といった各専門家がそろっていると説明しました。
● 保証人が先に亡くなった
事例では高齢の独居女性の公正証書遺言書を作り直したケースを発表。サービス付き高齢者住宅に入居する際に保証人になってもらっていた寺の住職が先に亡くなり、悩みの相談を受けたといいます。改めて作成する手続き内容を説明し、結果、新住職が保証人を引き受けることができ女性も安心して涙で喜んだと振り返りました。
● 意思確認できなくなったら
この時に遺言書が作れなかった場合も説明。女性が意思確認できなくなったら作成し直すことはできず、財産管理ができなくなれば後見人が決まるまで1年ほど掛かるといいます。その時、葬儀や埋葬、死後事務など頼める人がいなくなるといい、終活の大切さを伝えました。そのほか、入院中の高齢女性の遺言書と任意後見契約を作成した事例も紹介しました。
● トラブル前に相談を呼び掛け
発表者は、認知症になると遺言書を書いたり財産管理をしたりするのが難しくなると話し、意思決定ができるうちに対応することの大切さを強調。法定後見と任意後見の違いや、遺言書がない場合の困難さも説明しました。「相続人に認知症や障がいの方がいる」「夫婦に子どもがいない」「内縁関係のパートナーがいる」など、こうしたご利用者様がいたら、面倒なことになる前に紹介してほしい、と呼び掛けました。
● 質疑応答
質疑応答では、薬剤師が「公正証書遺言書は行政書士に相談すれば書けるのか?」「エンディングノートは効力があるのか?」と質問。発表者は「公正証書遺言書は本人でも書けるがテクニックがいるので、行政書士、司法書士、弁護士の専門家に頼んだ方がいい」「エンディングノートに法的効力はない。相続問題など起こらないよう、まずは遺言書を書くのをお勧めする」とアドバイスしました。会の終わりに、悩み事が出た際に相談する連絡先を全員で共有。平包括支援センターの窓口でもパンフレットを配布している案内もありました。同多職種連携の会の山内俊明会長(山内クリニック院長)はこの日の話を振り返った後、来年も引き続き交流を深めていく思いを語り、会を締めました。
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