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投稿:2025年02月03日

多職種連携・地域連携

1304. 最期の望みをかなえた訪問看護の支援を学ぶ・平在宅療養多職種連携の会

いわき市平地区の医療・介護・福祉関係者が交流する「平在宅療養多職種連携の会」がこのほど、オンライン上で開かれました。訪問看護ステーションの看護職員が「在宅がん患者の看取り」をテーマに発表。最期の望みをかなえた訪問看護の支援事例から学びを得ていました。

● 在宅がん看取りの事例
医師、歯科医師、薬剤師、訪問看護師、介護支援専門員(ケアマネジャー)、介護職員、リハビリ職など30人が参加し、1月16日に開かれました。発表者は「在宅がん看取りにおける訪問看護師の役割〜その人らしい最期を実現するために〜」と題して経験を発表。がんで余命宣告され退院した若い患者を支援した事例を取り上げました。

● 意思の確認
支援した1週目、患者の最期をどこで迎えたいか、家族だけで話し合ってもらい、不安の声も聞き取ったといいます。2週目は患者本人に最期をどこで迎えたいかを尋ね「最期は家がいい」と意思を確認。ご家族にもその意思を共有し、在宅看取りの支援が決まった一方、ご家族からは弱っていく姿を見るのが辛いなどの不安も聞き取ったといいます。

● 入浴したい思い
3週目は患者が次第に体を動かすのが難しくなったため、家族の介護負担も大きくなりケアマネジャーに相談しヘルパーの利用を始めました。入浴時には急変の可能性もあると説明したところ、患者からは「お風呂が大好きで入りたい」という意思を受けて継続。ご家族が支援できる時間帯に入浴するよう対応し、緊急に備えた対応をケアマネジャーや訪問入浴、訪問看護の関係者で確認し合いました。

● 「最期まで家にいたい」
その後、患者は食事も困難に。ご家族は苦しい姿を見るのが辛く入院を望みましたが、本人は「最期まで家にいたい」と希望。ご家族の辛い思いに共感しながら、本人の意思に沿ってサポートする方向性を伝えました。さらに、会話ができなくなるまで残り1週間ぐらいだと正直に本人に伝え、ご家族への思いを動画撮影することを提案すると喜んで撮影に応じたといいます。

● 3つの学び
ご家族は最期に備えて介護休暇を取得。ご家族が見守る中で患者は息を引き取りました。後日、撮影した動画をご家族に手渡し、「最期まで家で過ごさせてあげることができて良かったです」と言葉をもらったといいます。発表者は3つの学びとして「訪問看護介入当初から意思決定を確認する」「今後予測される体調の変化をタイムリーに評価し、少し先を見越す力の大切さ」「コミュニケーションスキル、本人、ご家族の思いに寄り添う気持ちの大切さ」を上げ「その人らしい最期を迎えられるよう、これからも訪問看護師として努めていきたい」と語りました。

● 意見交換
発表後に意見交換。小規模多機能型介護施設で働くケアマネジャーは、施設での看取り経験を共有。事例の患者に関わっていた福祉関係者は「ご家族は肝が据わっていたと思っていたが心は揺れ動いていたのだと知った。訪問看護師の支えでご家族は落ち着いていたと感じた」と敬意を示していました。発表を聞いた訪問看護師は「動画撮影のために患者に予測を伝えられるのはすごい勇気だ」と感動していました。同多職種連携の会の山内俊明会長(山内クリニック院長)は発表を振り返り「成功したケースを聞けると嬉しい。またみんなで頑張っていきましょう」と締めました。

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