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投稿:2019年07月10日更新:2021年05月10日

多職種連携・地域連携

618. 厚労省の前事務次官 地域包括ケアの方向性を講演・いわき福祉懇話会

地域包括ケアシステムを推進する国の考えを聞こうと、厚生労働省前事務次官の蒲原基道さんを招いた講演会がこのほど、いわき市のパレスいわやで開かれました。行政や企業の連携や現役世代が関わる生活支援や、認知症の方が報酬を得る就労支援の先進的な事例が紹介され、国が思い描いている地域支援体制を共有しました。

 

※「地域包括ケアシステム」とは:お年寄りが住み慣れた地域で自分らしい生活ができるよう「医療」「介護」「生活支援」が支える体制(詳しくは厚生労働省HP:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/

 

講演した厚生労働省前事務次官の蒲原基道さん

 

● 福祉、行政関係者ら約60人が聴講

講演会は7月5日、いわき福祉懇話会が主催。市内の社会福祉法人や市保健福祉部の関係者ら約60人が聴講しました。蒲原さんは厚労省で子育て、障がい、高齢者福祉の仕事に携わり、昨年度まで事務次官を担当。「地域包括ケアと地域共生社会づくり~社会保障と税の一体改革の最近の動きを含めて」と題し「高齢者を支える地域包括ケア」「地域包括ケアと地域共生社会づくり」「社会保障と税の一体改革をめぐる最近の動きと2040年を見据えた社会保障改革」の3テーマについて講話しました。

 

● 民間企業が生活支援

蒲原さんは「これからの地域包括ケア」で大切になる5つのポイントのうち「地域における生活支援などの推進」と「就労・社会活動の支援の強化」を重点的に講話しました。「地域における生活支援などの推進」について、蒲原さんは「現役世代が働きながらちょっとプラスして支援するのが大事」とし、それにより「退職後も高齢者活動に関わりやすくなって自分のためになる」とメリットを話しました。配達系販売会社がお年寄りの見守り活動する「本業+α」の例(※1)や、スーパーマーケットの店員が認知症対応する「本業」の例(※2)などを挙げました。様々な民間企業と連携している市の例では愛知県豊明市が紹介され、一部でなく希望する企業ならどこでも平等に組んで取り組んでいるため、市民からの不満も解消されていると説明しました。企業が生活支援に関わる例では、ネスレ日本の「介護予防カフェ」(※3)と「卓球カフェ」(※4)、高齢者見守りネットワーク「みま~も」(※5・東京都大田区大森)が紹介されました。

 

※1 「本業+α」の生活支援の例

「ヤクルトレディが認知症早期発見の見守りを協力」 2018年9月28日投稿:https://iwakikai.jp/blog/684/

 

※2 本業での生活支援の例

「認知症の疑いのお年寄りを発見して関係機関につないだ薬局」 2018年7月6日投稿:https://iwakikai.jp/blog/839/

 

※3

「介護予防カフェ(ネスレ日本ホームページ)」:https://www.nestle.co.jp/nhw/senior

 

※4

「卓球カフェ(食品産業新聞社ホームページ)」:https://www.ssnp.co.jp/news/beverage/2019/03/2019-0327-1728-14.html

 

※5

「みま~もホームページ」:http://mima-mo.net/

 

 

● 認知症の方が就労

「就労、社会活動の支援強化」では、東京都町田市のNPO法人「町田市つながりの開」が運営するデイサービス「DAYS BLG!」(※6)での、認知症の方の就労活動が紹介されました。このデイサービスは企業との提携といった「ハブ機能」を果たし、自動車会社ディーラーでの洗車や広報紙の折り込みなどの仕事を認知症の方がこなして報酬を得ているといいます。子ども食堂に取り組んでいる認知症デイサービスとして埼玉県三芳町の「けやきの家」(※7)が紹介。蒲原さんは、今後お年寄りが活躍するデイサービスが期待されると話していました。

 

※6

「DAYS BLG!のフェイスブックページ」:https://www.facebook.com/DAYSBLG/

 

※7

「けやきの家のブログページ」:https://ameblo.jp/keyaki3232/

 

● 「高齢者」「病気」「子育て」「障がい」 分野を超えて

「高齢者」、がん患者と言った「病気」「子育て」「障がい」の分野を、今後は横断的に対応する必要性があると、蒲原さんは強調。障がいを持つ子と介護が必要な高齢の親が同居するといった事例は一つの分野では対応できないと説明し、分野や業種を超えた助け合いの地域づくりが大切だと説きました。会場からの質問で、横断的体制の国の方針の進み具合について、蒲原さんは「次の介護保険改正の時に地域共生社会が検討課題になっていると聞いている」と回答。いわき市では地域包括支援センターと基幹相談支援センターが同じ窓口になっているという来場者の紹介を受けた蒲原さんは「全国的に非常に珍しい」と話していました。

 

【いわき市地域包括ケア推進会議の関連記事】

https://iwakikai.jp/blog/?c=%e3%81%84%e3%82%8f%e3%81%8d%e5%b8%82%e5%9c%b0%e5%9f%9f%e5%8c%85%e6%8b%ac%e3%82%b1%e3%82%a2%e6%8e%a8%e9%80%b2%e4%bc%9a%e8%ad%b0