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投稿:2025年10月01日

地域医療・福祉と多職種連携

1346. 「幼児の在宅輸液の介入」 薬剤師が発表・平在宅療養多職種連携の会

いわき市平地区の医療・介護・福祉関係者が交流する「平在宅療養多職種連携の会」がこのほどオンライン上で開かれました。薬剤師が「幼児の在宅輸液の介入」をテーマに事例を発表。参加者はいわき市では珍しい介入症例から学び、地域でもっと同様の患者を受け入れるための課題も共有しました。

この日は医師、歯科医師、薬剤師、看護師、介護支援専門員(ケアマネジャー)、リハビリ職など25人が参加。発表した薬剤師は「薬局では珍しい症例」として「幼児の在宅輸液の介入症例」を講話しました。事例は白血病と診断されてから治療で緩解し通院中の幼児。日替わりでご家族で見守りしている状況でした。

発表者は介入時からの処方内容を、飲ませ方の工夫なども交えて具体的に説明。在宅輸液混注の施設基準を説明したほか、ウイルスを取り扱う際に作業者や環境を守る箱状装置「安全キャビネット」と「クリーンベンチ」の違いも解説しました。

輸液作業の工程をまとめた手描きの図も披露し、液漏れしないための針の刺し方などを説明しました。人材育成のため、無菌室で輸液を調剤する経験を一人でも多くの薬剤師に体験してもらっているとも。保存のためにデジタル高温低温温度計と小型冷蔵庫を購入し貸出したといいました。

家族は輸液の交換や残薬廃棄、内服管理、見守りなど負担が大きく、そうしたケアも実施。家族のストレスに気づき、フォローや連絡できる体制づくり、信頼構築の大切さも共有しました。

発表者は、幼児の成長の変化や薬局でのこうした取り組み、ご家族の負担のフォローなどを伝えたかった、とまとめ。「これから多職種連携の必要性がもっと増えてくる」「症例のことで分からないことがあれば教えてほしい」と連携を呼び掛けました。

無菌室のある薬局勤務の薬剤師は「いわき市内で小児のこうした症例を受けた薬局は他にないのではないか」「いわき市の幼児患者はなかなか在宅に戻るのが大変で、対応できる薬局が少ない」と、この介入症例の重要性と地域課題に触れました。薬剤師のレベルアップが必要な一方、仮に対応できる薬剤師が増えても輸液を作るために多くの時間と人材が取られ薬局が対応できない課題も共有。「だからこそ地域の横のつながりが大切になる。みんなで頑張りましょう」と呼び掛けました。

そのほか、輸液用の冷蔵庫の貸し出しや、薬剤師の代わりに訪問看護が家族支援できないか、といった話題で意見交換しました。同多職種連携の会の山内俊明会長(山内クリニック院長)は、障がい児や小児のケアプラン事情はどうなっているかをケアマネジャーに問い掛けて話題提供。「高齢者のケアマネジャーのような仕組みが小児にも必要ではないか」と課題を投げ掛け、会を締めました。

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