↑日記を読み返すAさん
● 「排せつは元気の証し」
「おむつに手を入れ 汚物をかきまぜ その手を・・・・・怒らず 元気になった証しと受け止めよう 汚したらcleaningすれば良い 決して叱ってはいけないよ(自戒) 食欲良好 排泄も良し 体重増えたようだ 血色もこの上なく良好」 2016年1月21日
認知症を患った妻を介護して20年以上。認知症の症状を確信したのは、妻が羞恥(しゅうち)心もなく外で小便をしていたのを見た時だといいます。1996(平成8)年ごろに認知症と診断されました。「大変だと思うよりも、面倒を看なくてはと思った」。Aさんはそう覚悟したそうです。現在妻は寝たきりですが、歩ける時は家のあちこちで排せつをし、その排せつ物でお手玉していたこともあったといいます。Aさんは、妻が排せつで汚しても怒らないと自戒します。なぜなら「排せつは元気の証し」。
<この日の妻の日記>
「1月21日 金 はれ しつないおんど4ど 今日はホーモンニューよくの日です」
● 「仙人」が読み返す自戒
「仙人みたいになった」と自称するAさんは、「昔は短気で(妻に)よく怒っていたんだよ」と優しく笑います。とはいえ「仙人」でも当然、ストレスは溜まります。思うようにいかず怒りが込み上がる時には最初のページに戻り、この戒めを読んだそうです。
「認知症介護自戒」
1.「ほめる、感謝する」どのようなことをされても「上手ネ」「ありがとう。助かったワ」
2.「同情」「アア、ソウ」「そういうことがあったのですか」「大変ですネ」と相づちをうつ
3.「共感」「良かったネ」「ご飯、美味しかった?良かったネ」
4.「謝る、事実でなくても認める 演技をする」「さっきトイレへ行った時、水飲んできたの」そうか、うまかったかい?」 演技する俳優になったつもりで
オレンジ色のこの介護日記の最初の右ページには、この自戒が貼られています。左ページには、「腹を立てない」のを意味するのか、「腹」を右に90度傾けた文字も筆で書かれています。コントロールできない相手なら、自分を静めて心をコントロールしようと、「仙人」は教えているように思えます。
「ウンザリ 寝たきりの前の生活と同じように汚物まみれ ~中略~ しかし今の自分は変わった 怒りが湧いて来ない 寝たきりのwifeの気もちになれることができるようになったと自負」 2016年2月26日
<この日の妻の日記>
「2月26日金 1ド さむさがピーク きょうはごぜん中 ホモンカンゴ●●● ●ーサンがよていされています」(●の部分は読めませんでした)
(2017年5月13日に続く)
【介護の詩(うた)㊦】