いわき市平地区の医療、介護福祉関係者らが交流する「平在宅療養多職種連携の会(※)」が20日夜、同市の医和生会山内クリニックの会議室で開かれました。患者宅へ訪問活動する薬剤師の活動と、先週メンバーが公演した在宅療養劇「家に帰りたい」の報告がありました。病院などと連携して薬の服用回数を減らした事例が発表されました。
※「平在宅療養多職種連携の会」とは? 2017年3月17日投稿:https://iwakikai.jp/blog/1770/
● 92歳女性に薬管理の訪問指導
医師、歯科医、薬剤師、歯科衛生士、管理栄養士、理学療法士、介護士ら40人が出席。「くすりのマルト調剤薬局谷川瀬店」の管理薬剤師・松﨑登志子さんが、「薬剤師の在宅医療:訪問薬剤管理指導」と題して事例発表しました。松﨑さんは、訪問の薬剤管理指導が始まる例として、「医師の指示」、薬局窓口で薬剤師による「薬局提案」、介護支援専門員(ケアマネジャー)が薬局に相談する「介護支援専門員提案」、その他医療・介護職、家族らの相談による「多職種提案」の、4つのパターンがあると紹介。事例発表では、要介護3の女性Aさん(92)に薬管理の訪問指導をした「薬局提案型」のケースを紹介しました。
● 服用回数を改善し、転倒予防も
Aさんは、いわき市内に弟と妹が住んでいるものの一人暮らし。歩行器で歩ける状態で、自宅での生活を希望しています。高血圧症、逆流性食道炎、骨粗しょう症、脂漏性角化症など5つの病気を抱え、3つの病院から合わせて11の錠剤や塗り薬を服用していました。松﨑さんは、Aさんと来局した介護ヘルパーから薬を飲み忘れる相談を受け、Aさん本人の希望も確認して去年秋に自宅を訪問します。そこで多くの残薬を見つけ、ケアマネジャーと連絡。松﨑さんは「ケアマネジャーから『なぜ薬剤師が訪問するの?』『ヘルパーがしっかり薬を飲ませているから問題ない』と言われて驚いた」と振り返ります。その後松﨑さんは、Aさんと弟、ケアマネジャー、生活相談員、介護福祉士、福祉用具専門相談員と一緒に担当者会議を開催。昼に忘れるので1日3回の服用が困難で、度重なる病院の変更で薬も増え、さらに転倒しやすくなったという問題を共有します。病院の関係者と連携を取りながら、転倒が減るような処方に変え、服用回数を2回にするなど改善。服用する日にちと時間帯で薬を整理する「お薬カレンダー」も使い、服用の間違いもなくなったといいます。
● 在宅療養劇 好評の報告
事例発表後、13日に草野公民館で開かれた劇「家に帰りたい」の活動報告がありました。在宅療養の現場を住民に分かりやすく伝えようと、「平連携の会」のメンバーが公演した劇で、その様子を動画で公開。出演者は「練習が楽しかった」「草野は自分が働いている地域なので恥ずかしかった」「出演者がみんな勉強熱心」「みなさん笑いながら見てくれたのが印象的だった」「自分の職種を演じることは楽だった」などと感想を述べました。事務局は「公演数日後に民生委員から『すごくよかった』と連絡を受けた。『大学生に向けても劇を披露してほしい』という要望もあった」と、報告をしました。
【関連記事】
「在宅療養劇の公演があった『たっしゃか草野』」 2017年7月15日投稿:https://iwakikai.jp/blog/2245/
「市と市医師会主催の『在宅医療推進のための多職種研修会』 2017年7月12日投稿:https://iwakikai.jp/blog/2235/
「多職種連携教育の重要性を訴えるいわき明星大看護学部の小林教授のインタビュー」 2017年6月15日投稿:https://iwakikai.jp/blog/2198/