医和生会グループの専門職が日ごろの看護や介護の成果を披露する「ケア事例発表会」が21日夜、いわき市総合保健福祉センターで開かれました。山内クリニックの家庭医・岩井里枝子医師が基調講演、訪問看護師、管理栄養士、介護士、地域連携室員の計4職員が事例発表。ご利用者様との触れ合いのエピソードを交え、医療や介護の現場で肌で感じた想いを語り、聴講にお集まりいただいた市内の専門職者らにケアの成果を共有しました。登壇した5人の講演・発表を5回に分けてご紹介いたします。初回は、岩井医師の基調講演。
● 2年前に山内クリニックに
岩井医師は「こんにちは 家庭医です」と題し講演しました。山内クリニックの山内俊明院長の長女でいわき市出身の岩井医師は、金沢医科大医学部を卒業後、いわき市立総合磐城共立病院の初期臨床研修、金沢市の金沢城北病院での後期研修を経て、2015年から山内クリニックに入職。自己紹介では、大学時代に所属したヨット部、趣味の家庭菜園、好きなアーティストの「レディー・ガガ」、愛犬について語り、「院長の娘なのでお酒好き」とも。
● 「笑って死ねる病院」で家庭医研修
家庭医を志したきっかけは、大規模病院での複数の疾患を持つ患者は複数受診が求められ主治医があいまいになりやすいという葛藤と、ケアに関わる上での患者の日常生活への興味でした。「家庭医療マニュアル」という本の出会いから、終末期患者の望みをかなえる「笑って死ねる病院」として地元で親しまれる「金沢城北病院」で家庭医の資格を取得するまでを紹介。その病院で家庭医研修の第1号だったという岩井医師。患者や家族と寄り添う医療を学んだといいます。
● 患者の主観的苦しみも治療する家庭医
一般的になじみのない家庭医を、岩井医師は「あなたの専門医」と一言で説明します。そのイメージを「昔の田舎に1つしかない、何でも診てくれる診療所」と語ります。患者の臓器の治療を優先に考える専門医と異なり、家庭医は家庭や地域との関わりも考慮して患者の治療や予防に当たります。岩井医師は、患者が肩の痛みを訴えて家族から通報を受けた事例を紹介。その痛みの原因を探る疾患へのアプローチとともに、緊急性は低いものの通報した患者家族の主観的な苦しみ(病い)も探ります。普段ない痛みへの不安や「肩の痛みが心筋梗塞につながる」と聞いた経験を持つことに気付き、診察を踏まえ「肩こりだと考えられます。心筋梗塞の可能性は低いと思いますよ」といい、不安で落ち着かない患者家族を安心させたといいます。
● 夢はいわきに「幼老施設」
幼児とお年寄りが交流できる「幼老施設」設立の夢も披露。お年寄りは子どもを愛でることで癒やされ、子どもはお年寄りと触れ合うことで人間教育にもつながる。この実現に向け小児からお年寄りまでケアできるよう研さんを積んでいるといい、いわきにつくりたいと将来の夢を語りました。
● ケア事例発表会は今年で3回目
「ケア事例発表会」は今年で3回目です。タイトルは「人間愛にあふれた医療・介護・福祉の実践を通して」。今年の事例発表者の4人は、いずれも医和生会でコスモス訪問看護ステーションの訪問看護師・鈴木津加砂さん、小規模多機能型「すばる」の介護士・中西俊哉さん、地域連携室の中野美奈さんと、社会福祉法人いわきの里栄養管理課の管理栄養士・大川原由子さん。
(次回は鈴木さん)
【ケア事例発表会の過去記事】
<2019年>
「笑って死ねる在宅療養を目指して・岩井里枝子医師の基調講演」
<2018年>
<医和生会(いわきかい)の求人・採用情報>
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