いわき市平地区の医療・福祉関係者が交流する「平在宅療養多職種連携の会」がこのほど、同地区の「あらたな」で開かれました。10月に企画する「平在宅療養多職種連携のつどい」(※1.記事末尾)のテーマ「認知症高齢者の運転」に合わせ、参加者は意見交換。免許返納を促す必要性を認識しつつもその難しさを共有し、返納したお年寄りでも安心して生活できる支援のアイデアを呼び掛けました。
認知症高齢者の運転について話す安齋医師
● 「連携のつどい」 平地区中地域ケア会議と共催
平地区の医師、歯科医師、薬剤師、介護支援専門員(ケアマネジャー)、理学療法士、管理栄養士、市や平地域包括支援センターの職員ら35人が出席。9月19日に開催された「連携の会」では、毎年秋に企画している「連携のつどい」の開催概要(※2.記事末尾)を共有。今年のテーマは「認知症高齢者の運転」で、平地区中地域ケア会議(※3)とも共催する方針を確認しました。本番で講師を務める「あんざいクリニック」の安齋光昭院長(※4)がこの日、当日話題になりそうな関連トピックを投げ掛け。認知症の運転は危険な一方、本人を傷つけるため簡単に返納を促せない複雑さや、運転ができないと生活ができなくなる恐れもあり、地域全体で考える大切さを訴えました。
※3 「連携のつどい」を共催する「平地区中地域ケア会議」 2019年9月28日投稿：https://iwakikai.jp/blog/2385/
※4
安齋院長がお年寄りの運転免許をテーマに講話した「平在宅療養多職種連携の会」 2017年10月21日投稿：https://iwakikai.jp/blog/2269/
● 危険な運転目撃も 「生きがい」取り上げるのも辛い
来場した薬剤師は「薬局前でブレーキとアクセルを踏み間違えた患者がいた。でも返納を促すにもどう説得していいか分からない」という意見を共有。デイサービスの職員は「車の運転が好きでリハビリを頑張っている利用者がいる。その方が免許返納になれば落ち込みそうで怖い」という、お年寄りから生きがいを取り上げる辛さを吐露しました。「平在宅療養多職種連携の会」の山内俊明会長(当法人山内クリニック院長)は、認知症者にどう納得させて運転を止めさせるか、返納後も安心して生活ができるようどう支援するか、の2点が課題だと提起。その課題に関してのアイデア募集を呼び掛けました。
認知症の方に免許返納を促す方法、返納後も安心して外出できる支援策のアイデアを呼び掛ける山内会長(当法人山内クリニック院長)
※1. 「平在宅療養多職種連携のつどい」
2010(平成二十二)年から毎年1回開催している勉強会と懇親会。平地区の主に医療・福祉関係者、一般住民らが集まり、目的は顔の見える関係づくりと情報交換。勉強会は医療・福祉の共通課題をテーマに専門職が講演します。今年で10回目。ここ数年のテーマは「認知症の方への対応」「地域共生社会の実現」「地域包括ケアの実践」で、150人前後が参加しています。
＜過去の「つどい」の記事＞
2018年(2018年9月15日投稿)：https://iwakikai.jp/blog/702/
2017年(2017年9月22日投稿)：https://iwakikai.jp/blog/1862/
※2. ＜2019年度平在宅療養多職種連携のつどいの案内＞
開催日時：2019年10月17日(木)18:00～19:00
場所：いわき平競輪場サイクルシアター(福島県いわき市平谷川瀬西作1)
内容：テーマは「認知症高齢者の運転」。いわき中央警察署交通第一課長が「認知機能と安全運転」と題し講話。パネルディスカッション「専門職からみた現状と課題」と、講師の安齋光昭医師(あんざいクリニック院長)が総括します。
参加者対象：①平地区の医師、歯科医師②在宅医療に携わっている関係者③介護保険サービス関連事業所の職員④地域の関係者(行政嘱託員・民生児童委員・ボランティアなど)⑤医療福祉に関心ある一般市民⑥平地域包括支援センター、いわき障がい者相談支援センター、平地区社会福祉協議会などの職員
共催：いわき市医師会、いわき市介護支援専門員連絡協議会、平地区中地域ケア会議、平在宅療養多職種連携の会、平地域包括支援センター
参加費：無料
【平在宅療養多職種連携の会の記事】
