判断能力の不十分な知的障がい者や認知症高齢者が安心した自立生活を送れるよう、いわき市平地区のNPO法人「そよ風ネットいわき」が支援を続けています。判断能力の不十分な方々のために権利擁護に基づいた適切な金銭管理を行ったり、成年後見人等(※1)になったり。社会福祉協議会以外で福祉サービス利用援助事業(※2)を行う民間法人として誕生し、今年で17年目。近年では認知症高齢者や複雑な家庭環境の利用者が増えているようです。
※1 成年後見人等を詳しく説明している成年後見制度の研修の記事
2019年1月29日投稿:https://iwakikai.jp/blog/179/
※2 福祉サービス利用援助事業:認知症高齢者、知的障害者、精神障害者など判断能力が不十分な人たちに対して、福祉サービスの利用援助を行うことによって自立した地域生活を送ることができるように、その権利を擁護することを目的として、第二種社会福祉事業に位置付けられている(社会福祉法第2条第3項第12号)。
● 2002年に誕生
「そよ風ネットいわき」は2002(平成十四)年1月に誕生。判断能力の不十分な知的障がい者がアパートや自宅などで安心した自立生活を送るには、詐欺被害などに遭わないよう金銭管理が必要になります。これから地域で生活する障がい者が増えていくのを見越して支援法人を組織化しようと、地域生活者家族の会、弁護士らが設立準備をしました。
● 成年後見人等を担う法人
成年後見人等は、親族や専門職として弁護士・司法書士・社会福祉士ら個人が担うのが一般的です。ですが個人の成年後見人等の場合、亡くなるなどの非常事態が起これば引き継ぎが困難。一方「そよ風ネットいわき」のように法人が担えば引き継げ、顧問弁護士とも連携しているので専門的な解決も期待できます。設立当時は全国でも珍しい権利擁護支援の団体として知られ、現在でも「全国権利擁護支援ネットワーク」(※3)の会員は、福島県では「そよ風ネットいわき」のみです。
※3 全国権利擁護支援ネットワークのホームページ:http://asnet-japan.net/
● 認知症高齢者の依頼 近年増加
「そよ風ネットいわき」は今年10月現在、63人の成年後見人等を担っています。安藤民子理事長は「認知症高齢者の依頼が増えている」と近年の傾向を挙げます。入院するにも病院は金銭管理できず、認知症の親の金を無断で使う子どもも現れるのも想定され、「そよ風ネットいわき」の役割は高まっています。高齢者の利用増に伴い、業務外にも関わらず寄り添う機会も増えています。利用するお年寄りが亡くなった際、親族が疎遠のため代わりに火葬に立ち合ったり、突然失そうし会津若松市で見つかった独居の利用お年寄りを連れて戻ったこともあったといいます。認知症者と障がい者世帯、80代の親と50代の自立困難な子が暮らす「8050世帯」など、複雑な家庭が増えており、安藤理事長は「成年後見人等だけでは解決するのが難しい」と語ります。
● 目標「100人の成年後見人等」
市民後見人を増やすため、市が主催する「市民後見人養成講座」にも講師を派遣するなど協力。受講生からは「市民後見人」(※4)として活動する人や、「そよ風ネットいわき」で働き実践経験を積んでいる人もいます。安藤理事長は、職員不足で簡単ではないとしながら「100人の成年後見人等を目指したい」と目標。本田隆光副理事長は「『そよ風ネットいわき』が市全域を担うのではなく、各地にできるようになってほしい」と話していました。
※4 市民後見人とは(厚生労働省ホームページ):https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/dl/shiminkoukennin.pdf
【そよ風ネットいわきホームページ(内閣府NPOホームページより)】