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投稿:2019年11月27日更新:2021年05月11日

多職種連携・地域連携

716. VR認知症体験も 専門職が理解深める・認知症多職種協働研修会

いわき市の医療・介護関係者が認知症について理解を深める研修会がこのほど、いわき市の県認知症疾患医療センター(舞子浜病院)で開かれました。バーチャル・リアリティ技術を使ったVR認知症体験や、認知症以外の症状を見抜くグループワークを実施。参加者は互いの経験や考えを共有し、認知症の理解を深め合いました。

 

VRで認知症を体験する参加者

 

● 医療、介護の専門職ら35人参加

認知症ケアの支援体制の構築に向けて医療や介護関係者が「顔の見える関係づくり」を図ろうと、県認知症疾患医療センターと市地域包括ケア推進課が2014(平成二十六)年度から主催。7回目の今回は、今年4月1日に新たに認知症疾患医療センターの指定を受けた「四倉病院」も加わり、11月16日に開催。当法人医和生会の介護職員含め、市内全域から薬剤師、看護師、医療ソーシャルワーカー、介護支援専門員(ケアマネジャー)、作業療法士ら約35人が受講しました。

 

VR認知症体験の講師を務めた飛弾さん

 

● 認知症の方が見える世界をVR体験

VR体験では、プロジェクトを全国で展開している「株式会社シルバーウッド」(千葉県浦安市・※)の飛弾愛さんが講師を担当。受講者はヘッドマウントディスプレイとヘッドホンを装着し、上下前後左右に広がる仮想空間で認知症本人の世界を体感します。高層ビルの屋上の端に立ち、左右から「降りましょう」「大丈夫ですよ」と声を掛けられ、まるで飛び降りをうながされているかのような恐いVR体験も。視聴後、それがデイサービスの送迎車から降りる認知症本人の実体験を基にしてつくった映像だと、飛弾さんから知らされます。普段送迎サービスを提供している受講者は「足腰がしっかりしたおばあちゃんを降ろす時『止めて』と言われるけど、(VRの映像のように見えていたなら)恐いことをしていた」「認知症の方は高さが分からないこともある。視界の先に入って声を掛けて安心感を与えるようにしたい」などと学びを共有。ほかにも、電車に乗って現在地が分からなくなる体験や、レビー小体型認知症の特徴的な症状である幻視体験もしました。

 

シルバーウッド ホームページ:http://www.silverwood.co.jp/

 

 

● その症状は認知症?

「本当に認知症?」をテーマにしたグループワークでは、認知症専門医で県認知症疾患医療センター舞子浜病院の田子久夫センター長、舞子浜病院と四倉病院からそれぞれの医療ソーシャルワーカーが講師を務めました。受講者は6グループに分かれ、5つのケースを基に「それは認知症の症状か」「認知症以外にどんな病名が考えられるか」などを考えました。段々ともの忘れが激しくなって、真夏でも「寒い」と窓を開けようとせず、落ち着きなく話もまとまらない状態だったという事例では、受講者は「アルツハイマー型の認知症」という予想に加え「脱水症状の意識障害の可能性もある」と鋭い指摘も。慢性硬膜下血腫、ピック病、アルコール依存症などが事例で取り上げられ、単に「認知症」と決めつけずにほかの疾患も疑い、どう支援できるかを多職種で考えました。

 

講評する県認知症疾患医療センター舞子浜病院の田子センター長

 

● 認知症という思い込み注意

講評で田子センター長は、認知症とほかの病気を併せ持つ患者は多いと指摘し、「一見認知症に思える症状はたくさんある」と思い込みに対する注意をうながしました。さらに取り上げた事例ごとに症状を見抜くポイントを解説し、認知症悪化の防止や命を守るためにもほかの疾患に早く気付く大切さを呼び掛けました。

 

【関連情報】

「福島県認知症疾患医療センターとは(福島県ホームページ)」:https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/21025c/ninntisyousikkanniryoucenter.html

 

【認知症関連の記事】

https://iwakikai.jp/blog/?c=%e8%aa%8d%e7%9f%a5%e7%97%87

 

昨年度の認知症多職種協働研修会(2018年3月13日投稿):https://iwakikai.jp/blog/1134/