当法人医和生会の専門職が日ごろの看護や介護の成果を発表した「ケア事例発表会」(11月18日・いわき市競輪場サイクルシアター)記事の3回目。居宅介護支援事業所の管理者で介護支援専門員(ケアマネジャー)・小林悟が「終末期の方針に悩む家族様への支援」と題し発表しました。
● 終末期の方針に悩むご家族への支援
終末期の方針決定を迫られ苦悩するご家族に、ケアマネジャーとしてどう支援できるかをテーマに小林は発表。転倒して骨折し移動や入浴が困難となった女性(91)の事例で、介護者の長男妻(60代)の方針決定支援を取り上げました。支援当初、女性は「自宅で過ごしたい」と意向を示し、介護者は「不安もあるが頑張りたい」と意見。ケアマネジャーとして①本人、ご家族の訴えを傾聴②在宅生活を継続するためのサービス提案③今後の予測説明をして支えたといいます。
● 「積極的な治療?」「在宅看取り?」
それから1年後、介護者の体調悪化からヘルパーと入浴サービスを導入。女性は「慣れてきた」、介護者は「今後も在宅介護を続けていけそう」と自信を付けました。ですが女性は脱水・熱中症で救急搬送。寝たきり状態になり食事、水分量も低下しました。この時、女性は意思を伝えられなくなり、介護者は介護場所や方法の不安を抱えたといいます。そこで、終末期が近いのを説明し、在宅療養、入所、入院で考えられるそれぞれの情報を提供。「今まで在宅で頑張ってきたから」と訪問診療の意向に傾き、山内クリニックでの面談を調整しました。担当医やケアマネジャーを交えた話し合いでご家族は「積極的な治療」か「在宅看取り」かを悩み「決められない」。検査結果でがんの疑いが見られ、ご家族は「延命治療は望まない。本人もそう考えているはず」と自然経過に任せる決断。それでも本人に血尿が出るとご家族は「救急車を呼ぶべきか分からない。決めてほしい」とSOS。小林は救急搬送した場合としない場合の療養生活の説明とケアマネジャーに決定権はないと伝えたところ、それでも「決められない」と言われたという。
● 訪問看護師とも連携
小林は医療面の関わりは欠かせないと訪問診療・看護の導入を提案し、山内クリニックで再受診するよう調整。担当医から終末期に入り、点滴で苦痛が長引く可能性もあると説明がありました。それに対しご家族は、黙って見るのはできないと点滴を要望。本人の希望に沿って在宅で看取りたい意向を示しました。訪問診療・看護を開始。当法人のコスモス訪問看護ステーション(※1)からは「わたしノート」(※2)を活用して終末期の心構えを準備する説明をしてもらいました。患者様は徐々に弱っていく中、ご家族は点滴を中止する決断をして自宅で看取りました。ご家族は後日「本人の希望通りに自宅で看取れて良かったと思えるようになった」と話したという。
※1
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● 「多職種で家族を支える重要性を強く感じた」
考察で小林は、「最期まで家で」と考えるご家族は介護の不安を抱え、入所や入院をさせることに罪悪感を持ち、相談相手もいなかったように思うと振り返り。小林は節目ごとにご家族の理解度に合わせて丁寧に具体的に説明し、急変して混乱する時は気持ちに寄り添うよう心掛けたという。「(緊急時にも)ケアマネジャーのわたしを頼ってもらえたのはよい信頼関係を構築できた成果」。医療職の力も借り、判断材料の少ないご家族に情報提供してもらえた事で安心させられ「多職種連携で家族を支える重要性を強くを感じました」と締めました。
(続く)
【関連情報】
当法人の居宅介護支援事業所ページ:https://iwakikai.jp/service/support/
【ケア事例発表会の過去記事】
<2019年>
<2018年>
<2017年>
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