元ラグビー日本代表キャプテンで、ドラマ「ノーサイド・ゲーム」に出演した廣瀬俊朗さんがこのほど、いわき市総合体育館で講演し、成長のためにできる事を意識する考え方や、ワールドカップ(W杯)の応援の感謝、パラアスリートのすごさなどを伝えました。来場した子どもたちは次々に質問。車いすバスケと「地上のカーリング」と呼ばれる「ボッチャ」のパラスポーツも廣瀬さんと一緒に体験しました。
● 親子連れら約130人来場
地域スポーツ活動を展開しているNPO法人「Next one.(ネクスト・ワン)」(※1・茨城県つくば市)が、「Let’s パラスポーツ!!体験&講演会」と銘打ち去年12月23日に主催。親子連れら約130人が来場しました。第1部講演ではいわき市障がい者職親会(※2)の石山伯夫会長(※3)が「しょうがいしゃの現状について」と題し、企業で大活躍している障がい者やいわき市出身のパラアスリートたちを紹介。「目標は障がい者が当たり前に働ける社会になって、職親会が解散すること」と、障がい福祉の理解を呼び掛けました。
※1. 「ネクスト・ワンのホームページ」:https://www.npo-nextone.com/
※2. 「いわき市障がい者職親会の紹介記事」(2019年12月21日投稿):https://iwakikai.jp/blog/3084/
※3. 「障がい者雇用の取り組みを講話した石山会長」(2019年10月11日投稿):https://iwakikai.jp/blog/2492/
● コントロールできない目標より大事なこと
廣瀬さんは「ラグビーとパラスポーツについて」と題して講演。出演したドラマでは「視聴率を気にせず、いいドラマをつくろう」と発破を掛けた監督の想いに共感し、頑張ろうと思ったエピソードを披露。W杯の話題では「ホームでなければスコットランドやアイルランドに勝てなかったかもしれない」と振り返り、大きな声援への感謝のメッセージを送りました。2012年に日本代表のキャプテンとなった廣瀬さんは、かつての日本代表は「体型が小さい」「身体能力が低い」など変えられない欠点ばかり意識していたが、体型が小さくても何ができるかを考えるようになって強くなったと回顧。「勝つ」といった自分ではコントロールできない目標よりも「どんな人間になりたいか」「どう成長したいか」という目的を持つ大切さをアドバイスしました。
● パラ選手の脅威の身体能力
廣瀬さんはパラスポーツも紹介しました。俊敏に動いてラケットを振る車いすテニス、視覚障がいでも音を頼りにゴールを決めるブラインドサッカー、長時間ひたすらこぎ続ける車いすマラソンなどの動画を見せ、パラアスリートの驚異的な身体能力を解説。軽度から重度の障がい者が専用の車いすで激しくぶつかり合う車いすラグビーの紹介では「ラグビーよりもびっくりする」と魅力を伝えました。子どもから「ラグビー人生で一番辛かった事は?」という質問に、「けが」と「キャプテンを外された事」と回答。「けがや外される事は自分ではコントロールできない」と語り、逆境で何ができるかを考え行動したと振り返りました。そのほか子どもたちからは「何を食べたら大きくなれるか」「試合中のコミュニケーション方法は」「キャプテンで大事な事は」など次々と質問が飛んでいました。
● パラスポーツを体験
パラスポーツ体験では、日本障がい者スポーツ協会公認上級障がい者スポーツ指導員の菅野英輔さんが講師を務めました。車いすバスケをする子どもたちは、廣瀬さんからパスを受けてシュートに挑戦。思うように操作できない子もいる中、上手な子は車いすを走らせながらボールをキャッチし、そのまま流れるようにシュート。決まると「ナイス!」と歓声が上がっていました。いわきスポーツ探検隊(※4)や職親会のメンバーもサポートし、一緒に楽しみました。
※4.
「いわきスポーツ探検隊を主催するいわきブルーブレイブスの紹介」 2019年12月25日投稿:https://iwakikai.jp/blog/3118/