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2020年07月03日

いわきの医療・介護の課題 地域の話題

823. 医療体制を守る 医師が集まる拠点づくり・「いわきFCクリニック」がクラウドファンド

深刻な医師不足に苦しむいわき市の医療体制を守ろうと、「いわきFCクリニック」(常磐地区)が誕生して1年半が過ぎました。若手医師が憧れて集まるよう「いわきをスポーツドクター養成の先進地にする」目標を掲げ、世界的に活躍するスポーツ医の指導体制や多くの症例を診察できる環境を整えてきました。これにより県外から医師20人超を招くのに成功。医師以外の専門職との連携も進み、復帰を焦る負傷患者に「治す」以上の心身ケアで満足度も高まっています。「けが予防」を指導する地域活動にも力を入れ始めました。また休日夜間のいわき市内の救急医療体制を支援するため、救急医が患者宅に出向いて急病診療(一次救急)する体制も敷いています。今後さらに発展させるため、同クリニックはクラウドファンディング(※1)をスタート。超高齢化に伴う医療崩壊の危機が懸念される中、いわきの地域医療を支えるためにも善意を呼び掛けています。

 

※1クラウドファンディングのページ(8月31日午後11時まで):https://readyfor.jp/projects/iwakifc-clinic

 

● 誕生のきっかけ

「いわきFCクリニック」を共同で運営するのは、いわきの地域医療をICTサービスで支えようと誕生した「株式会社HealtheeOne(ヘルシーワン)」(いわき市平地区)。「FCクリニック」の誕生は、同社の小柳正和社長も携わった「山本雄士ゼミ」のいわきフィールドワーク(2017年9月)で出た医師不足の解消策に端を発し(※2)、本当に実現させようと立ち上がりました。若手医師が憧れて県外から集まる環境を整え、「いわきをスポーツドクター養成の先進地にしよう」と2019年1月、「いわきFCクリニック」を開院。クリニックの院長はイタリアサッカークラブチームの名門「ACミラン」に帯同した経験を持つ世界的なスポーツドクター・齋田良知医師。齋田医師が都内にいてもいわき市に来訪している若手医師にオンラインで診療アドバイスできる体制を構築。柔整院の「いわきFCリカバリーステーション」も併設し、専門職と連携して患者をケアする環境も整えています。

 

※2 「『いわきFCクリニック』誕生きっかけのアイデアが出たいわきでの『山本雄士ゼミ』」 2017年9月27日投稿:https://iwakikai.jp/blog/2828/

 

 

● 患者数増、多職種連携の治療ケア

開院から1年半が経過し、患者数も治療ケアの質も伸びています。「いわきFCクリニック」と連携する整骨院の「いわきFCリカバリーステーション」の院長で柔道整復師の山岡周さんによると、患者の7割は部活に励む地元の小中高校生。「FCクリニック」が外来診療する日曜日は電話が鳴り止まず、受け入れきれなくなるほど患者が増えているという。治療ケアの質の高さは患者の満足度調査に表れ、11段階評価(満足最高値が10、最低値が0)で毎週平均9前後の高評価を受ける。質の高さの理由は、専門職の垣根を越えた医師、看護師、理学療法士との連携。大会前にけがをして復帰を焦る部活生には、医師が治療中でもできる効果的な練習法をアドバイスし、その復帰プランを共有するリハビリ職がサポートします。この連携と密な共有が「負荷を掛けた治療」を実現し「完治まで練習できないのでは」と絶望的になる部活生を前向きにしています。

 

ケアに当たる「いわきFCリカバリーステーション」の山岡さん(「いわきFCリカバリーステーション」写真提供)

 

● 「けが予防」の地域活動も

一度けがをすると再発リスクが高まるデータもあることから「けが予防」の活動にも力を入れ始めています。昨年末には市内の野球教室に出向き、子どもと保護者に専門的なけが予防法を指導。肩やひじを健診し、けがをしにくくする可動域のストレッチ方法などを伝えました。負傷患者が少なくなれば病院や救急利用も減り、地域医療の負担軽減につながります。小柳社長と山岡院長は「今後も予防活動を続けていきたい」と考えています。

 

● スポーツドクターが集まる拠点に

現在クリニックに所属する医師は非常勤含めて約20人。いずれも県外在住で、中にはいわき市出身者も。小柳社長は「地方に大学ができるとそこを拠点に人が集まる」と、「FCクリニック」を拠点に医師が集まるイメージを例えます。優秀な医師が誕生すれば「スポーツドクターになるならいわき」という評判が高まり、医師の卵がさらに集まる好循環が期待されます。

 

 

● 「2030年でも現在の地域医療レベル維持を目指す」

これら取り組みを維持、発展させるため「いわきFCクリニック」はクラウドファンディングを決意。新型コロナウイルス感染拡大で財政基盤が不安定になり、運営が苦しくなった現状もありました。募金は①県外から医師の招聘(しょうへい)②医療機器の購入③オンライン診療・決済機能のさらなる強化④けがや病気の予防・再発防止の啓発活動に生かされます。いわき市の医師は高齢化が著しくかつ少ない現状で、迫る2025年問題(※3)に危機感を募らす小柳社長は、「限られた人材・空間」で最大限の医療を提供する効率化を実現させたい考え。「2030年でも現在の地域医療レベルを維持できるのを目指す」と抱負を述べ「齋田院長、山岡院長、私もいわき市出身で、みんないわきのために地道に取り組んでいます。皆さんのご支援をいただけたらうれしいです」と呼び掛けています。

 

※3

2025年問題とは:2025年は団塊の世代が75歳を迎える年。75歳を超えると医療費・社会保障費が増えるデータがあり、2025年に財政がひっ迫し、医療・介護サービスが守れるかの懸念があります。いわき市の医療・福祉に関して将来の危機的状況の予測を共有した「いわき懇話会・講演会」の記事(2018年7月18日投稿):https://iwakikai.jp/blog/822/

 

 

【いわきFCクリニック・リカバリーステーション】

住所:福島県いわき市常磐上湯長谷町釜ノ前1-1いわきFCパーク1階

ホームページ:https://iwakifc.clinic/

Twitter:@iwakifc_clinic

 

<いわきFCクリニック>

①スポーツ整形外科

診察日:日曜

診察時間:9:30~17:00

完全予約制で連絡先:

<電話>0246-88-7706

<URL>https://iwakifc.clinic/

 

②往診による休日夜間急病診療

診察日:日曜・祝日

診察時間:16:00~翌朝4:00

連絡先:0246-88-7706

※県外から招聘した救急医がご自宅に出向いて診察します

 

<いわきFCリカバリーステーション(柔整院)>

診察日時:火曜~金曜は12:00~20:00、土曜は10:00~18:00、日曜は9:30~17:00

(2020年7月1日現在は、臨時の診療時間を実施中)

完全予約制で連絡先:

<電話>0246-88-7706

<URL>https://iwakifc.clinic/