黄色いボディのかわいらしいバスが、いわき市平地区のJRいわき駅周辺で走っています。街を歩く市民から注目を集めるこのグリーンスローモビリティ(低速電動自動車)の愛称は「トイボ」。電話かネットで「タクシーのように呼び出せ、バスのように乗れる」便利な乗り物です。今月終了予定だったこの次世代交通システムの実証実験は11月23日まで延長が決定。今後さらに広まれば、免許返納したお年寄りにとっても新しい交通手段になるかもしれません。ちなみに今月24日からは有料化。使い勝手や乗り心地の体験とともに「トイボ」で楽しむ街歩きを提案するため実際に乗ってみました=記事の最後に動画。(事業推進室・西山将弘)
トイボの詳しい概要(2020年8月19日投稿):https://iwakikai.jp/blog/4413/
● 名所の写真撮影を撮りに
ツアー名は「トイボと行く~平の名所ぶらり歩き」。医和生会(いわきかい)の介護施設内に飾るいわきの名所写真を撮影すべく、松ヶ岡公園と市街地を巡ります。医和生会山内クリニック最寄りの乗降地点となるいわき芸術文化交流館「アリオス」から乗車。「松ヶ岡公園」で降り、周辺の写真撮影を兼ねて散策。乗車証明書を見せれば特典があるお店に立ち寄り、帰りは商業施設「ラトブ」で乗車して「アリオス」に戻るルートです。
● 電話とネット 試しに予約
出発前日の9月9日夕に予約。事務局の報徳タクシーさんに電話し「午前10時乗車」で予約すると「11時40分まで埋まっています」。仕方なくその時間で予約すると「帰りはどうしますか?午後は2時20分までいっぱいです」と、なかなかの盛況ぶりではないか。ネットからの予約も体験するためいったん断り、次はパソコンで帰りの便を予約。携帯のショートメールを使った認証コードの入力作業もありましたが、迷わずものの数分で完了。乗降地点をマップ画面で確認して24時間できるネット予約は便利ですが、電話予約は受付担当が丁寧に案内してくれるのでお年寄りでも安心でしょう。3運行日前から当日まで予約可能です。
● 心地よい風 かわいいモーター音
10日午前11時半に医和生会を出発。数分で「アリオス」東口の乗降地点に到着してトイボを待つ。カメラを手にそわそわして待ち構えると、いわき駅方面から「フラシティIWAKI」の旗を側面にまとったあのイエローボディがやってきた。ファインダーからのぞき見ると映え、「撮り鉄」ならぬ“撮りトイボ”になった気分で連写。乗車するとメガネの似合うきさくな女性ドライバーが温かく迎えてくれ、アンケートに答えて景品と乗車証明書をゲット。出発すると開放された窓から吹き込む風が心地よい。電車でいう「ガタンゴトン」に当たる“トイボサウンド”は「ウーーー」という、かわいくも力強いモーター?の音だ。見慣れた景色も時速18キロで動く車窓からは新鮮で、木製のベンチシートに腰掛けて眺める。
● ドライバーとの会話も楽しい
「このゆっくりのスピードで後ろから車にあおられないんですか」と尋ねると、ドライバーは「国道は極力走らないで、細い道を通ります」という。「ここの景色が好きなんですよ」と声を弾ませるドライバーの見る進行方向に目をやると、路地から天に向かってまっすぐ伸びる子鍬倉稲荷神社の急な階段。「おー、素敵ですね」とシャッターを切る。歩道から視線を感じる中学生集団を追い越し、出発から8分後、松ヶ岡公園に到着しました。
● 乗車特典サービスをゲット
松ヶ岡公園周辺を歩き回って撮影し、お昼は乗車特典サービス協力店となっている「中国料理いわき四川」さんで食事。ランチメニューの麻婆豆腐で満腹になり、「乗車証明書」を見せウーロン茶1杯を無料でもらって一休み。会計時に「乗車証明書」を再度見せると、「帰りもこれで帰るんですか?」と店員。私が初めての「無料ウーロン茶」客だったという。「どうやって乗るんですか?当日でも予約できるんですか?」と興味津々な店員に、丁寧に説明して店を出た。さらに粗品をもらえる「ヤマニ書房本店」さんにも立ち寄り。「何がもらえるだろう」とわくわくして購入する本を手にレジに向かい「乗車証明書」を見せたらなんとリラックマの「エコバッグ」を無料でゲット。「なかなか立派な物ですね」と上機嫌でレジを去ったら、「お客様、本のお会計をお願いします」と呼び止められるおっちょこちょいぶりをさらしてしまった。カード決済に慣れた人は「乗車証明書」を見せたら支払いした気分になるので十分ご注意ください。
● 飛び込み乗車の希望者も
午後2時20分、ラトブから帰りの便に乗車。行きと同じドライバーに再会し、出発時間まで“旅”の話で振り返る。もらったエコバッグを見せ「ドライバーさんは毎日無料でもらえるんじゃないですか」と言うと「いやー、さすがに運転手は無理ですよー」と一笑い。すると飛び込みで女性が「みずほ銀行近くまで乗れませんか」と登場。あいにく方向が違うので断られた女性は「写真撮らせてください」とスマホでトイボを撮影。ドライバーによると予約なしの飛び込み乗車の依頼は待ち時間によくあることで、同じ方向なら乗れるという。写真撮影する乗客も多いといい、“撮りトイボ”は私だけではないようだ。出発から6分後に「アリオス」に到着し「また乗ります!」とお別れ。街中散策も出会った人との会話も楽しかった。トイボは次なる市民を乗せるため「ウーーーー」と元気に走り去っていきました。
【トイボについて。予約もこのページからアクセスできます(いわき市ホームページより)】
http://www.city.iwaki.lg.jp/www/contents/1573699852228/index.html
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「次世代交通の実証実験・平地区で『トイボ』」(2020年8月19日投稿):https://iwakikai.jp/blog/4413/