特別支援学級生が競い合ういわき市中学校体育大会ボッチャ競技がこのほど、市総合体育館で初めて開かれました。福島県内の中学校体育大会でボッチャが正式種目になったのは初で、全国的にも珍しいです。これまでは主に運動能力が高い生徒が学校を代表して出場する大会でしたが、ボッチャは運動能力や障がいの有無等に関わらず誰でも公正に参加できる競技のため、これで日の目を浴びる機会が少なかった特別支援学級生も脚光を浴びるチャンスができました。2階アリーナ席を含めた会場から保護者や関係者の温かい声援を受け、選手は練習を積んできたのが伝わる巧みなプレーを披露。仲間と励まし合って勝利を喜び、敗れても相手をたたえる清々しい姿を見せてくれました。
● 本番に備えて準備
「ボッチャ」(※1)は「地上のカーリング」と呼ばれるパラリンピックの正式種目で、障がいの有無や年齢に関係なく競技できます。「いわき市中学校体育大会」の開催趣旨には「いわき市内の中学生」に健全な心身の成長と生徒相互の親睦を図らせる明記がある一方、これまで特別支援学級生はハンディキャップを抱え参加が困難でした。そこで県中学校体育連盟いわき地区はすべての中学生に練習の成果を発揮する場をつくろうと計画。賛同した協力企業が優勝旗やトロフィーなどを用意し、市教育委員会は市内全中学校に「ボッチャ」の用具を配って練習環境を整えてきました。県中体連いわき地区はボッチャ専門部会(※2)を立ち上げ、新型コロナウイルスの感染予防対策も検討して本番に臨みました。
※1 ボッチャとは(日本ボッチャ協会ホームページより):https://japan-boccia.com/about
※2「中体連で県内初のボッチャ競技開催へ」(2020年7月7日投稿):https://iwakikai.jp/blog/4268/
● 「喜んだり悔しがったり、楽しんで」
大会は10月12日に開催。市内の全特別支援学級生207人のうち20校から147人がエントリーしました。団体と個人の各トーナメント戦で競技。開会式では協力企業への感謝状贈呈後、市中体連ボッチャ専門部会の松﨑伯文(のりふみ)会長が「多くの人に勇気を与え、『やればできる』を伝えてほしい。喜んだり悔しがったり、楽しんでください」とあいさつ。いわき市の清水敏男市長は「今までの練習の成果を発揮して、学校の名誉を懸けて戦ってください」とエールを送り、関係者が始球式をして幕を開けました。
● 仲間と笑顔でピース
団体戦には35チームが出場。第1コートでは、当医療法人医和生会(いわきかい)のある谷川瀬地区を代表する平三中チームが登場しました。2階アリーナ席からは保護者らが見届け、新聞社ら報道陣にカメラを向けられながら一投。注目されるプレッシャーを感じさせず、ムードメーカーの選手が「(狙いは)真ん中、真ん中」「やればできる」と鼓舞し、仲間がナイスショットを決めればガッツポーズ。見事、初戦突破すると「勝っちゃいました」と先生と一緒に喜び合い、ビデオカメラの前で仲間とピースで笑顔を見せました。ですが次戦、会場から「強い」と呼び声が上がった四倉中とベスト8を懸けて挑むも、力およばず敗退。試合後、自発的に相手選手に駆け寄り「ありがとうございました。頑張ってください」とたたえ、清々しくコートを後にしていました。
<結果>
団体戦:①錦中A②四倉中③玉川中・磐崎中B
<記者のひとこと>
このボッチャ大会の開催準備を進めているのを知ったのは昨年末の「いわき市障がい者職親会」(2019年12月21日投稿:https://iwakikai.jp/blog/3084/)でのこと。今大会のボッチャ専門部会会長で、玉川中の松﨑校長が障がいを持つ人も安心して社会に羽ばたける教育構想を熱く講話する中、市中体連がボッチャを正式種目にするために準備を進めているのを喜んで話されていました。県内初の大会、新型コロナの感染対策という前例の試みに挑み、多くの課題を乗り越えた大会本番。あいさつする松﨑校長の言葉が心に響きました。励まし合ってショットし、互いにたたえ合った子どもたちは練習の成果を発揮し、一生の思い出ができたはず。ナイスプレー、お疲れさまでした!(事業推進室・西山将弘)
【いわき市中体連ボッチャ大会レポート(「マルト」さんホームページ)】
https://www.maruto-gp.co.jp/effort/31209/
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