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投稿:2020年10月21日更新:2022年12月26日

多職種連携・地域連携

869. 知恵出し合い、早期支援につなげる・平在宅療養多職種連携の会

いわき市平地区の医療・福祉従事者らが情報交換する「平在宅療養多職種連携の会」がオンライン開催となって初めて、認知症の疑いのある独居女性を連携支援につなげました。このほど開かれた「多職種連携の会」で、メンバーの薬剤師がその女性の対応を相談。トラブル発生まで支援につながらない可能性が高かったその女性を早期支援に結び付けられたのは、新型コロナ禍でもこの情報共有の場を再開したこと。医療人としての「患者に寄り添って心配する気持ち」が相談に至らせ、みんなで知恵を出し合って解決策を見出しました。

 

● 独居患者 認知症の疑いを感じた薬剤師の事例

「平在宅療養多職種連携の会」は新型コロナの感染予防で一時休止していましたが、7月にオンラインで再開。10月13日のオンライン3回目には、平地区の医師、薬剤師、介護支援専門員(ケアマネジャー)、リハビリ職、地域包括支援センター職員ら約20人が参加しました。今回のテーマは「地域で困っているケース」で、メンバーの薬剤師が「後悔がある事例」という80代の独居女性患者の対応を紹介。その女性は2年前に薬の用法や飲み方で何度も同じ質問をするなど認知症の疑いが見られるようになり、地域包括支援センターに相談。ご家族も交えて話し合い、要支援認定につなげたという。それでも本人は訪問サービスや支援を拒んで何もできないまま、女性の認知症の疑いはより強く見られるように。今年4月を最後に薬局に来なくなり、薬剤師は「病院に相談すればよかったのだろうか…」と後悔をにじませました。

 

● 「チームとして対応を」

あるケアマネジャーは「服薬できていないので認知症の進行が進んでいるかもしれない。でも本人は自覚していないので、積極的に関わり過ぎると悩みを増やす恐れもある」と対応の難しさの感想。別の薬剤師は、今回のような事例によく出くわし、どう対応すべきかいつも問題になるといい、薬剤師業界での課題でもあると意見しました。「多職種連携の会」の山内俊明会長(医和生会山内クリニック院長)は「本人が支援を嫌がり、一人暮らしだとトラブルが起こるまで気付かない」と危機感を示し、認知症初期集中支援チーム(※)につなぐのを提案。「一人で抱えず、チームとして対応するのがいい」と勧めました。

 

認知症初期集中支援チームとは(いわき市ホームページ):http://www.city.iwaki.lg.jp/www/contents/1466035692198/index.html

 

認知症初期集中支援チームの関連記事(2018年10月29日投稿):https://iwakikai.jp/blog/579/

 

● 助言を受け「あらためてやる気が出た」

一職種が主治医に相談しても対応してもらえないのではないかという声にも、山内会長は「認知症初期集中支援チームとしての相談なら主治医も対応してくれるはず」。山内会長やケアマネジャーから、短い診察時間で医師は認知症に気付くのが難しく、薬剤師が認知症の疑いに気付いた点をたたえる声も出ました。このほか、住んでいる地区の民生委員児童委員との連携や、つどいの場に導いて社会とのつながりをつくるのが大切だという意見も出ました。相談した薬剤師はアドバイスをもらったことで「あらためてやる気が出ました」とすっきりし、仲間からパワーを得た様子でした。

 

【「平在宅療養多職種連携の会」関連記事】

https://iwakikai.jp/blog/?c=%e5%b9%b3%e5%9c%a8%e5%ae%85%e7%99%82%e9%a4%8a%e5%a4%9a%e8%81%b7%e7%a8%ae%e9%80%a3%e6%90%ba%e3%81%ae%e4%bc%9a