〒970-8036 いわき市平谷川瀬一丁目16-5

0570-080825

ブログ

BLOG

2020年12月02日

医療・健康・地域福祉 障がい福祉 地域課題・講演

883. 「グレーゾーン」大学生の現状は?・いわき市障がい者職親会

学校、企業、福祉関係者でつくるNPO法人「いわき市障がい者職親会」2020年度第5回の勉強会がこのほど、いわき市のいわき産業創造館(ラトブ6階)で開かれ、参加者約50人は診断されないが発達障がいの症状を持つ「グレーゾーン」の大学生の現状に理解を深めました。講師を務めた医療創生大心理学部の鎌田真理子教授は、これまでに起こった事例を紹介し、誰もが働くことができる社会づくりを訴えました。

 

● 学校、企業、福祉関係者らが情報共有する「職親会」

いわき市障がい者職親会(※1)は1995(平成七)年に発足。障がいを持つ生徒も働き口が見つけられる地域をつくろうと、学校関係者が企業や福祉団体に声を掛けて誕生しました。定期的に学校、企業、福祉関係者らが講師を務める勉強会を開いて情報共有しています。2019年11月にNPO法人化。本年度5回目の勉強会は11月11日に開かれ、来場とオンラインでの参加がありました。

 

※1 「いわき市障がい者職親会のフェイスブックページ」:https://www.facebook.com/syokuoyakai/

 

講話した鎌田教授

 

● 大学生の「困り感」

鎌田教授は、発達障がいの症状はあるものの診断基準を満たさない「グレーゾーン」の学生対応をテーマに講話。全国の大学で起こった事例も交えて紹介しました。AO入試など多様な試験が導入されたことで様々なタイプの学生が入学し、学生の偏差値は20の格差が出ているという。教室が分からない、時間割作成ができない、板書や聞き取りが困難といった「困り感」を抱えた代表例と対応(※2)も語りました。

 

※2

 

● 「グレーゾーン」学生の事例

具体的な「グレーゾーン」学生の事例で、鎌田教授は7人を取り上げました。ASD(自閉スペクトラム症)の疑いが強く、在学中は奇異な言動がユーモアと見られていた学生は自衛隊に入隊後、指示が分からずついて行けずに辞職。それでもまっすぐで正直な性格が評価されて福祉系で再就職でき、温かい支援が成長に結びついた事例として紹介されました。誤解されやすい見た目から、女子学生にストーカーだと名指しで疑われた学生もいたといいます。教授会で協議されるまでに発展したものの誤解は解けましたが、本人への理解を怠ったまま周りが勘違いし迎合する危険性に注意をうながしました。毎日図書館で勉強し夜遅くに帰宅する学生が、女性職員から「夜に玄関で待ち伏せされて写真を撮られる」と怖がられた事例も。強迫神経症でマンホールに落ちる恐怖などを感じるため、不安な対象物を携帯で撮影して安心感を得ていたようで、事情を知った職員は誤解を解消できたという。周囲と橋渡しする代弁者の必要性を呼び掛けました。そのほか、LGBTの学生、レポートが書けずに親が代筆する学生らの事例が共有されました。

 

● いわき市はピアサポートが乏しい課題

「グレーゾーン」学生への対応で、鎌田教授は「困り感」に気付く大切さを指摘。大学での就職支援は一般的に「グレーゾーン」の学生は適応しにくいといい、その中でゼミの担任もアドバイスをするようになった好例も挙げました。大学の果たす役割では、将来設計を考えるためにも境遇が似た先輩らを交えた多世代交流を活発にする必要性を述べ、いわき市ではそのピアサポートが乏しいと来場者に支援の協力を呼び掛けました。大学が行っている卒業生の就労支援を紹介し、鎌田教授は「グレーゾーンの学生とは生涯関わるつもりで」と長期視点の支えを強調しました。「一億総活躍社会」がうたわれる現代、鎌田教授は働き手を大切にする社会づくりを呼び掛け。新人教育に力を入れる組織づくりや、リストラではなく今いる職員で仕事を生み出す経営を期待しました。

 

<記者のひとこと>

勉強会の講話後、会場からの「支援に当たる先生のメンタルヘルスは大丈夫か?」という質問に、鎌田教授は「障がい福祉と関係ない先生も支援スキルが上がって、教員同士が認め合うストレスにならない雰囲気がある」と回答。障がい者を支援する上で、組織の成熟は大事な要素だと感じました。また、卒業後も大学は「グレーゾーン」の学生の再就職を支援しているという話も印象的で、支援する学校と雇用する企業の連携は大切だと感じました。雇う企業は、学校から入職希望者の長所や短所を事前に把握できれば採用後も支援がスムーズにできるはず。誰もが安心して暮らせる地域づくりをめざし、そんな連携のきっかけになる情報発信になれば医和生会としてはうれしいです。医和生会人事課でも障がい者雇用に向けて取り組んでいます。現実化して社会に共有できる事例になればもっと地域雇用が活発になると期待しています。(事業推進室・西山将弘)

 

【関連記事】

「特別支援学級の取り組みの講話・いわき市障がい者職親会」 2019年12月21日投稿:https://iwakikai.jp/blog/3084/

 

「障がいを持っても集客力を発揮するスーパーの店員紹介」 2019年10月21日投稿:https://iwakikai.jp/blog/2541/

 

「障がい者雇用を考える企業向けセミナー『雇用のバリアフリー』」 2019年2月4日投稿:https://iwakikai.jp/blog/186/