いわき市平地区の医療・介護の専門職が情報交換する「平在宅療養多職種連携の会」が、このほどオンラインで開かれました。介護支援専門員(ケアマネジャー)らが、新型コロナウイルスに感染した疑いのあるご利用者様のケア事例を発表。それを受け各専門職も、ご利用者様が濃厚接触者となった場合の対応について意見を出し合いました。本年度は今回から、地域包括支援センターの職員が「認知症支援」をテーマにしたミニ講話を始め、全員で理解を深めていきます。
● 36人が参加
今回の連携の会は5月20日に開催。医師、歯科医師、薬剤師、ケアマネジャー、訪問看護師、訪問介護職員ら36人が参加しました。発表者のケアマネジャーは「コロナ禍の今 もしかして、コロナ感染?」と題し、感染疑いのあるご利用者様をケアした体験談を共有しました。まだいわき市のコロナ感染者数が低かった去年の初夏、息苦しさと発熱を訴える本人からショートメールを受信。まだコロナ対応が浸透していなかった当時の心境や、帰国者接触者センターへの相談などを振り返りました。検査の結果は陰性でしたが、それまでご利用者様宅に訪問して支えた看護師や介護職員も当時の状況を発表しました。
● 「身を守りながらいかに対応するか」
発表後に参加者が意見交換。去年と比べてコロナに関する知識がついたことで、医師は「今はただ恐がるだけでなく身を守りながら、いかに対応するかが大事。接触しなくてもできることはオンラインでやり、接触が必要な時はしっかりと防御をする」と意見。陰性でしたがご利用者様が濃厚接触者になった経験を持つケアマネジャーが複数人おり、それぞれが当時を振り返りました。地域包括支援センターの職員は、市外に出たご利用者様がサービスを利用するに当たり、PCR検査を受けないと利用を断られるケースが多い、と課題を挙げました。
● 認知症支援のミニ講話も
「認知症支援」のミニ講話では、地域包括支援センターの認知症支援推進員の職員が講話を担当。おととし国の閣僚会議で認知症施策推進大綱(※1)が作成された背景で、2035年ごろまで高齢者が増加し、4年後には65歳以上の約5人に1人が認知症になる予測を解説しました。若年人口の減少と核家族化で介護力が低下し、「認知症施策は重要」と強調。認知症になっても本人の意思が尊重され、住み慣れた場所で暮らし続けられるよう国が推進している「地域包括ケアシステム」(※2)について、認知症ケアの視点で説明しました。地域包括ケアシステムを推進するため、参加者からは「住民一人一人にもっと啓発が必要」という声。医師は「認知症初期集中支援チーム」(※)を紹介し、認知症の疑いのあるお年寄りを見掛けたらつないでほしい、と呼び掛けました。
※1 「認知症施策推進大綱について(厚生労働省ホームページ)」:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000076236_00002.html
※2 「地域包括ケアシステムについて(厚生労働省ホームページ)」:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/
※3 「認知症初期集中支援チームを紹介した平在宅療養多職種連携のつどい」 2018年9月15日投稿:https://iwakikai.jp/blog/702/
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