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投稿:2018年06月13日更新:2023年10月11日

研修会・勉強会 いわきの医療 多職種連携・地域連携

335. 「スキン-テア」や創傷被覆材の使い方学ぶ・いわき褥瘡ケアネットワーク

「いわき褥瘡(じょくそう)ケアネットワーク」のセミナーがこのほど、いわき市のいわき芸術文化交流館「アリオス」で開かれ、常磐病院外科の神崎憲雄医師と、福島労災病院の皮膚・排泄ケア認定看護師の蛭田さんが、皮膚裂傷を意味する「スキン-テア」や、傷を効果的に治癒させる創傷被覆材の使い方について講話しました。

 

※褥瘡とは(一般社団法人日本褥瘡学会HPより):寝たきりなどによって、体重で圧迫されている場所の血流が悪くなったり滞ることで、皮膚の一部が赤い色味をおびたり、ただれたり、傷ができてしまうことです。一般的に「床ずれ」ともいわれています。(http://www.jspu.org/jpn/patient/about.html#1)

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↑「スキン-テア」を説明する皮膚・排泄ケア認定看護師の蛭田さん

 

● 加齢などで皮膚が弱ると摩擦などで傷
「スキン-テアの知識を深めよう!」と題して講演したのは、いわき市の福島労災病院の皮膚・排泄ケア認定看護師の蛭田理絵さん。スキン-テアは「摩擦・ずれによって皮膚が裂けて生じる真皮深層までの損傷(部分層損傷)」と説明。加齢などで皮膚が弱ると摩擦やずれに耐えられなくなり傷ができるといいます。体の一番外側を覆う「表皮」、その内側の動脈や静脈などが流れる「真皮」、さらに内側の「皮下組織」の3層のうち、真皮深層から皮下組織の境目で発症しやすいのが特徴です。ベッドの柵とのすれ、ばんそうこうをはがす時の摩擦、着替えでの衣服のすれなどでも皮膚が裂ける例も挙げました。スキン-テアは高齢者に多いですが、年齢や部位も関係ないと説明。裂けた皮膚の有無や色などで重症度を5段階に分類したシステムも紹介され、出席者はスライドに映されたスキン-テアの写真を見て分類にも挑戦しました。本年度の診療報酬改定では、入院時の褥瘡の危険因子の評価に「皮膚の脆弱性(スキン-テアの保有・既往)」が追加されたと解説。具体的な予防ケアの方法も紹介しました。

※蛭田さんの講話は以下の文献を主に参考にされております。具体的な予防ケアなども紹介されており、ダウンロードできるので詳しく知りたい方はご参考ください。
「ベストプラクティス スキン-テア(皮膚裂傷)の予防と管理」(編集 一般社団法人日本創傷・オストミー・失禁管理学会):http://www.jwocm.org/pdf/best_practice_.pdf

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↑創傷被覆材の正しい使い方について講話した神崎医師

● 傷は患者自身が治すもので、医療側は手助けしかできない
常磐病院外科の神崎憲雄医師は「創傷被覆材の正しい使い方」と題して講話。傷を治す大原則を「自然な治癒力を最大限発揮できる環境整備」とし「傷は患者自身が治すもので、我々はその手助けしかできない」「創傷被覆材や軟膏が褥瘡を治す訳ではない」と説明しました。それを踏まえ、細菌から守るために破っていはいけないというやけどの水疱(すいほう)の処置例から「湿潤環境理論」を解説。適度に保湿された「うるうる状態」をつくって傷口を保護すると治癒力が高まるとアドバイスしました。肌を優しく保護するガーゼは傷を乾燥させるとし、治癒の遅れにつながると指摘。湿潤環境を整える創傷被覆材「ドレッシング材」の代表的な商品も挙げました。壊死組織や感染のある褥瘡にドレッシング材を使用するとばい菌が繁殖するため、「絶対ダメ」と注意。「浸出液が少ない褥瘡」「感染・炎症を伴う褥瘡」「肉芽形成不十分な褥瘡」など様々なケースを挙げ、効果的なドレッシング材を紹介して処置を解説していました。

● 今回の「ケアネットワーク」は17回目
「いわき褥瘡ケアネットワーク」は市内の褥瘡ケア向上と地域連携を目的に、2011年10月に設立されました。市内の医師や看護師ら有志でつくり、代表世話人は神崎医師。年3回セミナーやイベントが開催され、6月7日に開催された今回は17回目。

 

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