禁煙の大切さを訴える市民公開講座「今こそ受動喫煙にNOを」がこのほど、いわき市の産業創造館(ラトブ6階)で開かれ、東京都の高岩寺(こうがんじ)住職でもある来馬明規(くるまあきのり)医師が歌やダンス、謎掛けなどのパフォーマンスも交えて喫煙の恐ろしさを訴えました。清水敏男いわき市長も登壇し、今後市で取り組むべき禁煙化への方針などを公の場で初めて明らかにしました。
● 禁煙マーク入りの白い袈裟(けさ)姿
来馬医師は東京都の「とげぬき地蔵尊 高岩寺」の住職。年間800万人訪れるお寺の境内に禁煙マークを掲げて全面禁煙化させ、地元商店街の飲食店も禁煙の輪が広がっているといいます。禁煙マークがデザインされた白い袈裟(けさ)と僧帽姿の来馬医師は「『ストップ!吸い込め詐欺』わたしはだまされない」と題して講演しました。たばこは心筋梗塞にもつながることから、心臓マッサージのこつを紹介。マッサージするテンポは、ガールズロックバンド・プリンセスプリンセスの「DIAMONDS(ダイアモンド)」のリズムが合っていると説明し、心肺蘇生法の手順を紹介したその替え歌とダンスを披露。袈裟を左右に振り乱しての激しい踊りで、自動体外式除細動器(AED)をアピールする場面も。会場に手拍子を求め、観客はマッサージのリズムを体感しました。
● 「分かっちゃいるけど止められない」
来馬医師は寺の禁煙化の取り組みを紹介。地元商店街の関係者を集めた救命訓練の講習会も開き、実際に商店街で倒れた人を救助した例もあったといいます。受動も含めた喫煙の恐ろしさを説き、血液がドロドロになり血管が詰まって心臓が痙攣(けいれん)するメカニズムや、「『分かっちゃいるけど止められない』のがタバコの本質」と強い依存性を訴えます。住職らしく「タバコは仏を引きずり出す悪魔」と仏教で例え「吸い込め詐欺のだまし屋」と一喝。「『くわえて吸って気持ちがいい』タバコは乳首そのものだ。笑っているけどそれは哺乳類の本質」と安らぎの快楽に注意を喚起。このほか、アフリカの子どもが葉タバコ畑で働いている社会問題も訴え、「どこにも『いそう』にない『医僧』のお話でした」と閉めました。
● 清水市長「来年度はいわき市の健康元年。禁煙問題も含まれる」
パネルディスカッションでは、清水市長、来馬医師、いわき市医師会の木村守和副会長、市内の萩料理店オーナーの萩春朋さんがパネリストとして登壇。「周囲での受動喫煙の状況」「国の健康増進法改正や東京都の受動喫煙防止法案への意見」「医療費、医師不足、寿命などに関わる医療問題について」などをテーマに、それぞれ意見を述べました。「いわき市の今後の受動喫煙対策の方向性」では、清水市長は「公共施設の敷地内禁煙を今まで以上に着実に進めていく。本庁舎内のタバコ自販機の撤去も検討」とし、受動喫煙防止に積極的に取り組む飲食店も広めていきたい考えを示しました。福島県民は全国的に不健康で、いわき市民は県内でもさらに悪い状況だと説明する清水市長は「来年度はいわき市の健康元年と位置づけ、何をするか検討中。その中には禁煙問題も入る」と市民への協力を呼び掛けました。
● 医師、歯科医師、薬剤師 「喫煙NO」訴え
前半の講演では、市薬剤師会の赤津雅美理事が「かかりつけ薬剤師と禁煙支援」、市歯科医師会の菅原勝人理事が「タバコが『歯と口の健康』に及ぼす影響」、福島労災病院の江尻豊副院長が「身近にあります、禁煙外来ネットワーク」、市医師会の齊藤道也理事が「新型タバコは『立派なタバコ』です」とそれぞれ講話。赤津理事は掛かりつけの薬局を決めるメリットなどを挙げ、禁煙相談も気軽にしてほしいと語りました。菅原理事は、歯が残ると健康寿命が伸びるデータを示し、タバコは歯周病の悪化の原因の一つだと警告。江尻副院長は、保健所、病院、歯科診療所、薬局でつくるいわき市禁煙外来ネットワークを説明。齊藤理事は、電子タバコといった新型タバコは吸ってもその害を感じない厄介さに注意を呼び掛けました。この講座は市医師会が主催し、6月2日に開催されました。
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「禁煙外来ネットワークの紹介」 2018年7月11日投稿:https://iwakikai.jp/blog/830/