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投稿:2023年05月26日

多職種連携・地域連携

1185. 「地域ケア会議」を学ぶ・平在宅療養多職種連携の会

いわき市平地区の医療・福祉関係者が交流する「平在宅療養多職種連携の会」がこのほど、オンライン上で開かれました。平地域包括支援センターの職員が「小地域ケア会議」をテーマに発表しました。

● 民生児童委員が関わった事例紹介
医師、歯科医師、薬剤師、介護支援専門員(ケアマネジャー)、リハビリ職、介護職員など30人が参加し、5月18日に開催されました。平地域包括支援センターの職員は「地域を紡ぐ〜シームレスな小地域ケア会議を目指して」と題して発表。平地区内のある地域を取り上げ、コロナ禍でも毎月駅に集まって定例会を続けていたほど熱意のある民生児童委員が関わった事例を紹介しました。

⚫︎ 民生児童委員の相談から支援へ
発表者は、民生児童委員から「父親が亡くなり精神疾患がある子どもと母親の二人暮らしの家庭があるが、訪問してもいいのか?」という相談を受けた事例を取り上げました。その家庭は80代の母親と社会的引きこもりのある50代の息子が暮らし、心身や生活状況が不明という世帯でした。民生児童委員から初期相談を受けた後、地域包括支援センターは障がい者相談支援センターと情報を共有、地区保健福祉センター(地区セン)と連携し、ご家族やキーパーソン、ケアマネジャーらも含めて協議。福祉サービスの導入につなげました。病院や薬局、訪問介護事業所などを含めた支援体制を整え、民生児童委員にはケアマネジャーがついたことを報告し、現在も見守りを続けてもらっていると、発表者は語りました。発表者はそのご家族と受けている支援先を視覚化した図を示し「皆さんがどんな連携、協働ができるかを考えてほしい」「コミュニケーションの積み重ねが大事だと思う」と意見を述べました。

● 小地域ケア会議での取り組み
民生児童委員の定例会で出たほかの相談では「高齢者夫婦宅を訪問しているが、長髪の息子がいて気になっている」「近所の若い男性が『お腹がすいた』と訪ねてきた」「亡くなった奥さんのネックレスを持ってお金を借りにくる男性がいる」といった声もあり、引きこもりや生活困窮者といった相談は多岐に渡っています。そういった課題を地域住民で共有し解決の糸口を見つける場が「小地域ケア会議」で、発表者はその取り組みを紹介。社会福祉協議会の地域福祉マップをもとに、高齢者・障がい・児童分野に限らない困り事を参加した住民同士で共有し、マップを更新し、相談を関係機関に繋いだ会議の例を紹介しました。

● 参加者の意見
地域ケア会議の参加者意見も紹介。民生児童委員は「これまで抱え込んでいた相談を出せて負担感が減る」、居宅介護支援事業所は「サービス外での見守りといった支援体制構築や精神障がい者たちと関わる機関と繋がれる」、社会福祉協議会は「マップの情報を更新でき、経済困窮者の把握もできる」、地区センは「情報の入りにくい引きこもりや虐待の疑いある世帯を事前に把握でき、対応を検討できる」と、それぞれの関係者・団体がメリットを受けているといいます。発表者は「地域に暮らす人々みんなで集まって、縦糸と横糸が紡ぎ合うように、温かな織物、地域を作っていきたい」と想いを語りました。

● 質疑応答
発表の質疑応答では「本年度の小地域ケア会議の開催予定の回数は?」という質問に、平地域包括支援センターの職員が「小地域ケア会議はさまざまな課題が見えてきた地域で開催するもの」「昨年は個別ケア会議が10回、小地域ケア会議が6カ所で開催された」と答え、偶然この日も小地域ケア会議が開催されていたようで「『つどいの場』の運営の課題をみんなで話し合った」と内容を紹介しました。中地域ケア会議の委員に選ばれた医師は、地域ケア会議の重要性に触れ「小地域ケア会議で出た課題を中地域ケア会議に上げていただければご協力します」とコメントを寄せました。

事例発表後は、オンライン内で複数の小グループに分かれてコミュニケーション。最後、同多職種連携の会の山内俊明会長(医和生会山内クリニック院長)は「縦割りではなく、高齢者であろうと障がい者であろうと一緒に考えるのが大切だと感じる。私たちの力を一つにしてディスカッションできるようになると、いわきをもっといい町にできる」と結束を呼び掛けました。

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