医和生会(いわきかい)山内クリニック近くの理美容専門学校「iwakiヘアメイクアカデミー」でこのほど認知症講座が開かれました。去年始まった「VR認知症体験」のほか、今年は重りを身に付けてお年寄りの身体機能を感じる「インスタントシニア体験」も行いました。
● 2019年からヘアメイクアカデミーで講座
医和生会は2019年から同校学生とメイクセラピーや認知症講話を通じて交流が始まり、去年はいわき市地域包括ケア推進課が主催する「VR認知症体験」を企画。今年は5月31日に開催されました。1年生向けに昨年同様いわき市地域包括ケア推進課主催の「VR体験」を、2年生向けに平地域包括支援センターと市社会福祉協議会の職員に協力を得て認知症講話と「インスタントシニア体験」を行いました。
● 認知症講話
去年すでに「VR体験」を受けた2年生13人は、平地域包括支援センターの職員による「認知症講話」をまず受講。講師はウサギにもアヒルにも見えるだまし絵をスクリーンに映し、「ウサギと思えばウサギに見えるように、脳は考えて物を見ている」と解説。リンゴを買って食べてお金が無くなる一連の行動を例に、認知機能が低下した脳はどう状況を理解しているのかを分かりやすく説明しました。そのほか、体験自体を忘れる認知症の物忘れと加齢の物忘れの違い、認知症状の原因、特徴なども紹介しました。
● お年寄りの身体機能を体験
「認知症講話」に続き、重りを身に付けてお年寄りの身体機能を感じる「インスタントシニア体験」では、市社会福祉協議会の職員が講師を担当。講師は、老化で目や耳、肺、反応、歩行などがどう低下するかを解説しました。その後、学生はペアになり、身体的な衰えを体験するための用具を装着。足首、ひざ、ひじ、手首、背中などに動きを抑制する重りやサポーターを身に付け、さらに視野を狭くし白内障を体験できるゴーグルも装着しました。
● 車いすに乗って「怖い」
用具を装着し“お年寄り”になった学生は、もう一方の学生の介助を受けて隣の部屋のシャンプー台まで往復しました。車いすに乗って介助される学生は視覚が変化するゴーグル装着で見えにくいこともあり「怖い」「誰?」と大声を上げます。腕は動かず「骨折したみたい」「関節が曲がらない。痛い」という学生や、「どっこいしょ」と車いすに座っておばあちゃんになりきる学生も。介助する学生は「段差気をつけてください」「車いす押しますよ」と上手に声掛けしていました。
● 「声掛けのサポート大事」
体験した学生は「視野が狭くて下も脇も見えなくて、車いすが速く感じた。声掛けのサポートが大事だと思った」「声掛けがあると恐怖心が無くなった」「体が重くて曲げられない。青い色が緑に見えた」といった感想を述べました。医和生会秘書室の中野は、車いす操作や声掛けが上手な学生が多かったことに「感動した。もう身に付けていて、日ごろからやっていてできているのかと思いました」とたたえていました。
<ヘアメイクアカデミーの認知症講座>
「初の認知症講座」
「医和生会でメイクセラピー」
「2回目の認知症講座」
「VR認知症体験」