山内クリニックの岩井淳一医師がこのほど、福島県郡山市の国際医療看護福祉大学校で救急救命士と介護福祉士をめざす学生に「救急と介護の連携」の指導をしました。講話後、施設で転倒した高齢者を介護職員役と救急救命士役が連携して救助する学生のシミュレーションの様子を見学してアドバイスを送りました。
●在宅から救急まで
岩井医師は、在宅診療(訪問診療)と救急外来という2つの分野で働いています。普段は当院の訪問診療医として、患者様のご自宅や高齢者施設を訪問し、必要な診察や処置を行うほか、看取りも含めて対応。日本救急医学会救急科の専門医でもあり、いわき市医療センターの救命救急センターの非常勤医師としても勤務しています。
↑訪問診療の様子
↑救命救急センター(いわき市医療センター)にて
●学生ら約50人に講義
同校では、施設での緊急時対応や多職種連携の必要性を学ぶため、救急救命士科と介護総合マネジメント学科の合同授業が7月20日に開かれ、学生ら約50人が受講しました。特別講師の依頼を受けた岩井医師は、自身の経験を交えて、在宅と救急の連携がいかに重要かを説明しました。
●救急病院について
授業の最初、岩井医師は「救急と介護の連携」と題して講義しました。いわき市医療センターは重症患者を受け入れる3次救急病院※ですが、市内では人手不足が深刻で、1次・2次救急病院で受け入れ困難となった患者が搬送されてくるケースも多く、患者が医療センターに集中。救急車の年間受入は約4200件と、救急現場が逼迫している現状を語りました。また、現場急行後、片っ端から電話をかけ続けて、患者の搬送先を探す救急隊の苦労にも触れました。
※日本の救急医療体制は、軽症患者を受け入れる1次救急病院、中等症患者の2次救急病院、重症患者の3次救急病院(救命救急センター)に分かれています。
●緊急時の備えが大事
岩井医師は、介護職員が1人しかいない夜間の施設で利用者が意識を失ったケースを想定して注意点を説明しました。全国的に施設の利用者の重症度は高くなっている傾向にあるため急変の心構えが大切だといい、日中の観察力や判断力、申し送りが大事だとアドバイス。また、利用者本人が延命措置を望んでいなくても、急変時に慌てて救急車を呼び、救急搬送された場合、救急の現場では心臓マッサージや人工呼吸などの延命措置を施すことになるといい、普段から、急変時の方針を施設職員やご家族などみんなで共有する点も呼び掛けました。そのほか、救急患者の確認事項や判断のポイントなどを説明し、いわき市で使用されている終末期医療の意思を書き残す「わたしの想いをつなぐノート」も紹介しました。
●学生がシミュレーション
学生のシミュレーションは「転倒・骨折」と「窒息・心肺停止」の両ケースで行われました。車いすに乗ったご利用者様役が立ち上がった際に転倒し、介護職員役が事態に気づいて冷静に対応。医務室にいる職員役に連絡して応援を呼び、バイタルチェックをしたら看護師役に電話。看護師役は救急隊に連絡し、相談員役、ご家族役、施設長役、宿直者役に連絡を取り合います。その間、救急隊役が準備して現場に駆け付け、介護職員役とも連携して落ち着きながら機敏に救助しました。その後、「窒息」のケースでもシミュレーションを実施。最後、岩井医師が講評してアドバイスを送りました。
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