いわき市平地区の医療・介護・福祉関係者が交流する「平在宅療養多職種連携の会」がこのほど、オンライン上で開かれました。歯科医師が「睡眠時無呼吸症候群」をテーマに発表。参加者は原因や治療法などに理解を深め、オーラルフレイル予防の大切さを学びました。
● 原因は?
医師、歯科医師、薬剤師、訪問看護師、介護支援専門員(ケアマネジャー)、介護職員、リハビリ職など20人が参加し、2月20日に開催。発表した歯科医師は「歯科から見た睡眠時無呼吸症候群」と題して講話しました。発表者は「睡眠時無呼吸症候群」について「睡眠時に呼吸が止まる病気。放置すると高血圧や心筋梗塞、脳卒中のリスクが高まる」と説明しました。同症候群には「上気道閉塞型」と「中枢性」の2種類あり、「上気道閉塞型」は上気道が狭くなるなどで発症し、肥満や首周りの脂肪、あごが小さい、舌が大きいのが原因で、「中枢性」は脳からの呼吸指令がうまくいかずに発症して心不全や脳卒中の原因となる、とそれぞれ解説しました。
● 「低位舌」にならないように
睡眠時無呼吸症候群かをチェックする項目も紹介。「大きないびき」「昼間の疲労感」「血圧」「首周囲径」などに関する計8つの質問事項を記載したリストを共有しました。口腔内の筋肉量が落ちると口腔機能、舌の筋肉も落ちて舌の位置が低くなり、軌道をふさぐ「低位舌」という状態になると図解で解説。オーラルフレイルの予防の大切さを呼び掛けました。
● 治療方法を学ぶ
治療器具の「CPAP」と治療用のマウスピースも紹介。マウスピースは一体型と分離型の2種の違いにも触れ、歯ぎしりしても壊れない分離型が今の主流だと説明しました。マウスピースを装着すると下あごが前方に移動するので気道が確保される仕組みや、長期で使用すると歯並びが悪くなる難点も指摘し、CPAPとの併用をお勧めしました。治療効果が出やすい人の特長として、舌が小さい、下あごの可動量が大きい、鼻呼吸が可能などを上げました。
● 参加者と情報交換
質疑応答では、地域包括支援センターの職員が、長期で使用すると歯並びが悪くなるというマウスピースの治療は最長でもどのくらいかを質問。発表者は「長くても半年。それ以上になると奥歯が前に出て噛めなくなる事例がある」と回答しました。親戚がCPAPで治療中という理学療法士は「睡眠時無呼吸症候群で歯科医師に行く発想がなかった」といい、歯科医師に行くタイミングを質問。発表者は「いつでも大丈夫。マウスピースは高額で、医師から睡眠時無呼吸症候群という診断を受ければ歯科医師でいつでも作れる」とアドバイスしました。
住民に健康講話をする保健師は、オーラルフレイルに関するセルフチェックの方法を尋ねました。発表者は「口の中が乾燥したら進んでいる。歯が痛くないのに固いものが噛めなくなるのも危険で、噛めなくなるのは筋力が原因とも考えられる」と助言。質問者は「健康講話に役立てたい」と感謝しました。そのほか、現代の子どもの歯の健康についての話題では、発表者は「あごが細くなって歯も少なく、永久歯がない子が増えている。固いものを噛まないので歯の質が柔らかく、虫歯を削るときに削れ過ぎて怖い」と近年の子どもの歯に関する気づきを共有しました。
同多職種連携の会の山内俊明会長(山内クリニック院長)は、少しずつ対面の交流も再開したい意向を示し、来年度は対面とオンラインのハイブリッドでの開催も検討したいと話して会を締めました。
<平在宅療養多職種連携の会・関連記事>
「最期の望みをかなえた訪問看護の支援を学ぶ」
「行政書士から見た認知症対策」
「心不全を考える」
「多職種の情報共有を考える」
「いわき市の地域医療の課題を学ぶ」
「データ連携、介護報酬を学ぶ」
「口腔の健康チェック 専用シートで確認法学ぶ」