▼余命宣告を受けた女性にエンディングノートの取材をしたのは1年前のあるカフェでした。初対面でしかも話題はあまりにデリケート。アイスコーヒーのグラスはその緊張感を察したのか、びっしょりと汗をかいたように結露していました。警戒心を持った女性は次第に心を開き、「残りの人生を前向きに生きる」という強い意思を語ってくださった。長い時間はあっという間に流れ、女性は最後「なんかすっきりした」と笑顔を見せてくれました。グラスに結露した一滴一滴は線を引いてつたい落ち、テーブルに水の輪を描いていました。
▼それから1年後。エンディングノートを引き継いだ長女さんと長男さんに取材した日は、その女性の四十九日でした。当日、取材場所に指定していたあのカフェが休みだと知り、わたしが急きょ頭に浮かんで提案した店は「吉福」さんでした。後でご家族から聞くと、よく女性が散歩で立ち寄って惣菜を買っていた店だったという。女性が「この店がいい」と導いたのではないのだろうか。気丈に明るく話す長女さんと長男さんの姿が、女性と重なりました。空が青く澄んで、まぶしいまでに晴れた初夏の日のことでした。(「地域連携・企画広報課」・西山将弘)
<2019年7月の記事ランキング(6月24日~7月24日のフェイスブックリーチ数)>
一位「アロマテラピーインストラクターの薬剤師・小野寺さん」 7月8日投稿:https://iwakikai.jp/blog/1404/
二位「家族の手に渡ったエンディングノート」 6月26日投稿:https://iwakikai.jp/blog/1331/
三位「子どもの交流の場をつくる『ミサキラウンジ』」 7月3日投稿:https://iwakikai.jp/blog/1386/
四位「『いわきの海を安全に』 サーファー看護師の大垣さん」 7月4日投稿:https://iwakikai.jp/blog/1398/
五位「厚労省の前事務次官 地域包括ケアの方向性を講演」 7月10日投稿:https://iwakikai.jp/blog/1423/
<去年女性に取材した時の記事>
「余命3年の女性、死を考え生きる」 2018年6月16日投稿:https://iwakikai.jp/blog/937/
【過去の取材雑記とランキング】
最近の記事:https://iwakikai.jp/blog/?c=%E5%8F%96%E6%9D%90%E9%9B%91%E8%A8%98%E3%81%A8%E8%A8%98%E4%BA%8B%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B0
↓それ以前の記事