● 多彩な終末期ケアのパターンを共有
「デスカンファレンス」は今年5月に始まり、3カ月に1回開催。いわき市平地区の「平在宅療養多職種連携の会」で松田徹医師(竹林貞吉記念クリニック)の提案で企画されました。この日、医師、薬剤師、訪問看護師、ケアマネジャー、医療ソーシャルワーカー、栄養士の計10人が参加。中野は、訪問診療や訪問看護などのサービスを使って終末期を過ごした83~95歳の6人へのケアを発表しました。看取りの場所が自宅、病院、施設、病気はがんや非がん、介護者の有無など、さまざまなケースで紹介しました。
● 患者に寄り添いたい薬剤師
薬剤師は「患者が来なくなると入院したことすら分からなくなり、お悔やみ記事で亡くなったことを知る時もあります。支援が必要な時期に疎遠になる」と、もっと患者に寄り添いたい気持ちを語ります。参加者からは「(ケアマネジャーが)ご利用者様に薬剤師の訪問サービスがあるよともっとアピールした方がいい」「訪問薬剤師をどう利用していいのかピンときていないケアマネジャーもいる」という意見や課題が出ました。医師は「最初に『1回利用しても500円くらいだよ』と伝えれば安心させられる」とあまり経済的負担にならない訪問薬剤師の利用料をアピールする必要性を挙げました。
● 最後は栄養摂取より幸せを感じてほしい
看取りが迫った終末期ケアについて、管理栄養士は「栄養面を重視するよりも、食べやすく食べたい物を食べさせた方がいいのでは」と患者に幸せを感じてほしい想いを語りました。すしが好物だった患者に最後1、2貫食べさせた思い出も披露。「(患者が)元気なうちに食のエピソードを聞いておくべき。管理栄養士は嫌いな食べ物は知っているが、意外と好物は把握していない」とも。すると薬剤師が「必要ない情報だと思っていたけど、窓口で好物の話をたまに聞く」と語り「そういった情報を多職種間で互いに共有できたらさらによいケアができる」と話が広がりました。
● 最後、幼なじみや友達と会話できたら素敵
訪問看護師は、「福祉用具」を必要な時に素早く取り換える大切さを訴えます。どんどん歩けなくなる終末期患者を例に、本人の尊厳を守って生活させるには杖、車いす、尿器などその時その時の患者の状態に合った用具を早めに提供することが大事で「情報共有ができるといいタイミングでそれができる」と話しました。さらに、「家族に在宅介護する『覚悟』があっても『介護力』が伴わないケースもある」と現場で感じる葛藤も語りました。地域包括支援センターの職員は、地域の視点から終末期ケアを話します。患者の幼なじみや友達も心配しているにも関わらず、最後はお悔やみの場面でしか会えなくなるケースに課題を感じ「そういった方たちと最後に会話できたら素敵だと思う」と地域を巻き込んだケアカンファレンスのアイデアも挙げました。
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「ご利用者様の91年の人生と在宅療養の記録」 2017年11月7日投稿:https://iwakikai.jp/blog/2888/
「第1回目のデスカンファレンス」 2017年5月16日投稿:https://iwakikai.jp/blog/2140/