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2021年10月18日

居宅介護支援事業所 認知症・成年後見

1038. シリーズ「認知症を知る」| 最終回・予防のために

認知症は誰でもなりうる可能性のある病気で、現在は治療薬もなく治すことができません。ですが、予防はできます。自分自身、ご家族のためにも、認知症の予防に理解を深めましょう。医和生会(いわきかい)の介護支援専門員(ケアマネジャー)で、認知症スペシャリストの芳賀がシリーズで解説する最終回の5回目。

 

● 家に閉じこもって急速に悪化

まず認知症が悪化してしまった実例をご紹介します。奥様と2人暮らしで、認知症を患いながらも、自宅で生活されていた80代男性の例です。週2回のデイサービスを楽しみにされていましたが、「コロナの感染予防のため」としばらく休むことに。3ヶ月後、急速に症状が悪化。奥様から「家での介護は難しい」と相談があり、最終的に施設に入所することになりました。症状が悪化した原因として考えられるのは、人との交流が激減したこと。デイサービスを休むようになったことで、外出や会話の機会が減った影響が大きいと考えられます。

 

● 社会とつながりを持つ

上記の例を踏まえて認知症予防に大切なことは、「社会とのつながりを持つこと」です。ボランティアでもサークル活動でも、様々な人と会話して、楽しい時間を過ごすことが何よりの予防になります。外出は、自然とおしゃれをする機会が増え、心身の良い刺激につながると思います。コロナ禍で家に閉じこもる日が多くなりましたが、感染予防を徹底したうえで外出して、周囲の人と交流するのは、認知症予防の観点では大切なことです。

 

● 生活習慣、難聴にも要注意

発症のリスクを減らすため、生活習慣と食習慣の改善も大事です。特に、運動不足、高血圧、喫煙、飲酒、肥満といったリスクがあると認知症になりやすいことが最新の研究で分かっています。「血圧が高い」と言われたら、定期的な受診や適切な服薬で血圧をコントロールすることが大切です。そのほか、適度な運動、禁煙などリスクの軽減につながる行動を心掛けましょう。軽度認知障害(MCI)※であれば、早期に「運動」「脳を鍛える」などの適切な対策をとることで改善される可能性が高まります。

そして、難聴(聴力低下)は認知症になりやすいので要注意。はっきりとした理由はわかっていないのですが、話が聞き取れないので人との会話を避けて引きこもり、音が聞こえないことで、脳への刺激がなくなるからと考えられています。聴力の低下を感じたら、耳鼻科に相談し、補聴器を付けるなどの対策を講じるのをおすすめします。

 

※軽度認知障害とは、認知症の前段階の状態で、MCI(Mild Cognitive Impairment)とも呼ばれる。物忘れが頻繁にあっても日常生活に支障がなく、介護を必要としない点が認知症と異なる。

 

● 脳トレや趣味もおすすめ

脳のトレーニングもおすすめです。簡単にできるものでは、毎日日記を書いて前日やったことを思い出すトレーニング。記憶を呼び起こすことで脳を活性化させます。どこでもできる簡単な頭の体操では暗算。例えば、「100」「93」「86」「79」…などと100からずっと7を引いていく計算です。体を動かしながら行うとさらに効果的です。そのほか、家庭菜園や陶芸、絵画など趣味に打ち込むのも良いと思います。趣味は「楽しさ」だけではなく、脳の老化の予防に効果が期待できます。趣味のサークルに参加すれば、社会とつながりも持てて、とても有効です。

 

● より深く学ぶために

これまで5回に分けて認知症を紹介してきましたが、それはほんの一部です。もっと深く認知症を知りたいという方は、「認知症サポーター養成講座」を受講してみるのもいいかもしれません。認知症の専門知識を持った「認知症キャラバンメイト」が市民向けにわかりやすく解説し、認知症のある人をどう支えればいいか教えてもらえます。いわき市では地域包括ケア推進課が窓口になっています。全国各地で開催されているので、詳しくはお住まいの自治体にお問い合わせすると教えてもらえるはずです。また、いわき市では認知症のある人や地域住民、専門家らが気軽に集う「オレンジカフェ」(※2)も定期開催されています。そこでお話を聞くのも学びになると思います。

 

※1「令和3年度認知症サポーター養成講座の受講者募集(いわき市ホームページ)」

※2「オレンジカフェ以和貴の開催情報(いわき市ホームページ) 」  

 

● まとめ

誰も認知症にはなりたくないものですが、残念ながら、誰でもなる可能性がある病気です。だからこそ、市民一人ひとりが認知症を正しく知るのが大切だと思います。みんなで認知症の人を支えていける地域をつくれたら、誰もが住み慣れた場所や家で暮らし続けられるようになります。今回で認知症の解説は終わりますが、どうか認知症の人を見かけたら優しく接してあげてください。最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

 

<講師・芳賀の紹介>

医和生会居宅介護支援事業所のケアマネジャー。介護の仕事歴18年。「福島県認知症介護実践指導者等養成指導者」として県から認知症介護の指導者育成を任されたり(※1)、「認知症キャラバンメイト」として地域住民に認知症の理解を広めたり(※2)もしています。

 

※1 「医和生会の職員向けに勉強会開催」

※2 「地域住民に向け認知症サポーター養成講座」

 

<医和生会の居宅介護支援事業所>

ホームページ:https://iwakikai.jp/service/support/

 

【シリーズ「認知症を知る」】

第1回「私が出会った“認知症”」

第2回「どんな症状?」

第3回「認知症のサイン」

第4回「一人の人間として接する」