▼バーチャルリアリティー(VR・仮想現実)の技術を利用した認知症体験会で“認知症”になりました。ヘッドマウントディスプレイとヘッドフォンを装着すると、認知症者の実体験の世界を見て感じることができました。介護車両から介助を受けて降りる場面も、認知症者から見たら高層ビルの屋上から落とされる感覚。「こんなに恐い思いをしているのか」と体感。9月に予定されるVR体験まで待てないあなた、MR(妄想リアリティー)の“技術”であなたを認知症の世界に誘います。
▼目の前に見知らぬ女がいる。なんかよく覚えてないけど、この人といると嫌な気持ちになる。
「腹減ったなあ」
「さっき夕食食ったっぺよ。何回言ったらわかんの!」
この人はなんで怒っているのか。そもそもここはどこだ。
「母ちゃんがつくった煮っころがし食いてえなあ」
痛い!頭をバチンと引っぱたかれた。恐い。
「あんたの母ちゃんとっくに死んだっぺよ。バカか」
母ちゃんの家に帰らないとこの女に殴られる。早く逃げないと。立ち上がって出口を探す。
「座ってろっつってぺよ」
強引に腕を引っ張られ、いすに無理やり押さえつけようとしてくる。
「助けてくれー。殺されるー」
「うるせえ。近所迷惑だっぺよ。父ちゃん、頼むから静かにして。勘弁して」
泣き叫ぶ女を振り払って、無事に外に逃げた。
目の前に見知らぬ女がいる。なんかよく覚えてないけど、この人といるとすごく嫌な気持ちになる。
「腹減ったなあ」
「んだね、一緒に食べっぺね。でもその前に手洗いに行くべね」
なんか恐い。
「母ちゃんがつくった煮っころがし食いてえなあ」
母ちゃん家に帰ろうと立ち上がろうとすると、女は心配そうな表情を見せる。
「今雨降ってっから止んでから帰ったらいいべ」
「いや、母ちゃん家に帰っから」
すると女は正面に立ってじっと見つめてきて、手を握りながら優しく語りかけてくる。
「んじゃ、一緒に歩いて行くべね」
外に出て一緒に手をつないで夜道を歩く。女が「父ちゃん」という男との思い出話をしている。なんか懐かしい。ところでおれは今何してんだ。
「疲れたなあ」
「楽しかったね。んじゃ帰っぺね」
月明かりの下でほほ笑む女の目から涙が流れていた。
目の前に見知らぬ女がいる。なんかよく覚えてないけど、この人といると落ち着く気がする。
「腹減ったなあ」
テーブルの上の器には煮っころがしが盛られていた。
▼やっぱりVRで認知症の世界を見て感じたいというあなた。9月の体験会の詳細は以下です。(「地域連携・企画広報課」・西山将弘)
【いごくフェスでのVR認知症体験会】
日時:9月8日午前10時半~午後12時半
場所:いわき芸術文化交流館「アリオス」(福島県いわき市平字三崎1-6)
先着:100人
申し込み(8月1日から):0246-22-1202(いわき市地域包括ケア推進課)
詳細(8月1日発表):http://igoku.jp/
<2018年7月の記事ランキング(6月26 日~7月26日のフェイスブックのリーチ数)>
一位 「認知症の疑いある人を発見した薬局、関係機関につなぐ・『認知症地域相談窓口』開設後で初」 7月6日投稿:https://iwakikai.jp/blog/839/
二位 「いわき市介護事業所協議会、発足へ」 6月30日投稿:https://iwakikai.jp/blog/906/
三位 「内郷・好間・三和地区の中地域ケア会議」 6月26日投稿:https://iwakikai.jp/blog/914/
四位 「平地区の第2層協議体の会議」 7月7日投稿:https://iwakikai.jp/blog/837/
五位 「全国連覇狙う好間高フラガールズ、「きらく」を訪問」 6月27日投稿:https://iwakikai.jp/blog/912/
<番外>
「認知症VRの体験会」 7月25日投稿:https://iwakikai.jp/blog/810/
【過去の取材雑記とランキング】
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