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投稿:2019年07月04日更新:2022年12月26日

いわきの医療 多職種連携・地域連携

615. 夢は「いわきの海を安全にする」・講習会を企画するサーファー看護師の大垣さん

サーファー歴30年の看護師・大垣竜一郎さん(47)=常磐病院=は、いわきの海を安全にするため海難救助技術を身に付けた市民を増やそうと活動しています。青年時代は波に乗る毎日を過ごし、看護師になってから「命を救いたい」という情熱で海難救助講習会を開催。活動の輪が広がり始め、全国に発信できる「安全ないわきの海」づくりに奮闘しています。

 

「安全ないわきの海」づくりに奮闘する大垣さん=2019年6月25日、いわき市の永崎海岸

 

● 毎日サーフィンしていた20代

「小学生のころから海が好きだった」という大垣さん。家が海の近くだった訳ではないですが、友だち家族と海水浴に行くうちに好きになっていったといいます。高校時代にサーフィンを始め、大学時代から本格的に打ち込みました。卒業後も20代のころは「360日、雪でも吹雪いても台風でも毎日波に乗っていた」といい「中毒だった」と笑います。「波と一体化して、水の上を走るのが泳ぐのとは違うスピード感がある」と魅力を語ります。

 

 

● 29歳で看護師目指す

高校生のころは医師を目指していました。ですが受験に失敗。それならばと外資系の企業に憧れたものの、大学卒業時にバブルがはじけてチャンスがなくなりいわきに帰郷。「胸を張ってやりたいことをやれ」という父の理解もあり、毎日海で波に乗る日々。このころからすでにおぼれた人を何人も救い、有志を募って救急救命の研修も一度だけ独自開催したといいます。看護師を目指す決意をしたのは20代の終わり。「命を守るヒーローだった」(大垣さん)という消防士の父と医師になった弟から刺激を受け、29歳で看護学校に入学。卒業後、常磐病院の看護師になりました。

 

● 一念発起し海難事故救助訓練を企画

救急救命に関心のあった大垣さんは、一次救命処置インストラクターの資格を取得し、災害派遣医療チーム(DMAT)でも活躍。病院内では医療職有志を募り、救急講習も定期的に開くように。そんなある日。テレビで海難死亡事故のニュースを見て「俺がいれば助けられたのに」と悔しがる一方で「ほかにも助けられる人がいれば」と思いました。そして「思ってるだけではダメだ」と一念発起。海に通って潮流も知り尽くしている地元サーファーが救命技術を身に付けたら、救える命が増えるかもしれない―。勤務する病院に働き掛けたほか、市、市消防本部、福島海上保安部、いわきサーフライフセービングクラブ、日本サーフィン連盟福島支部、水難学会にも協力を呼び掛けました。

 

初のサーファー向け講習会で心肺蘇生法を指導する大垣さん=2018年5月13日、いわき市の四倉海岸

 

● 受講を機にライフセービングクラブに入会したサーファーも

初の「海難事故救助技術訓練」を開いたのは2018年5月。地元のサーファーら90人を会場の四倉海岸に集め、心肺蘇生法やサーフボードを使った救助法の講義を行いました。今年は入水して実践的に学ぼうと、市内のプールで2回目の訓練を実施。大垣さんは「今回は水中だったので、受講者は『なるほど』とより実際の状況をイメージして体験できていた」と振り返ります。訓練を機に活動の輪は広がっています。人材不足が課題のいわきサーフライフセービングクラブには、受講したサーファー7人が加わりました。当法人山内クリニックの岩井淳一医師も毎回参加して指導を手伝い。今年の訓練後、医療関係者から協力したいという声も届いたといいます。

 

波に乗る大垣さん=2019年6月25日、いわき市の永崎海岸

 

● 10年後は全国に広がっていてほしい

海上保安庁の救助ヘリがいわきの海に到着するまで約40分。救急車も状況によってはすぐに駆け付けられるとは限りません。それまでおぼれた人の命をつなげられる市民を増やすことが安全な海づくりの第一歩。来年も企画しようと意気込む大垣さんは「10年後、市民から関係機関まで連携して命を守る活動が日本全国の海岸地域で当たり前に行われるようになってほしい」と目標。全国に発信できるいわき発の「安全な海」づくりが続きます。

 

【関連情報】

「いわきサーフライフセービングクラブ」フェイスブックページ:https://www.facebook.com/pages/category/Community/%E3%81%84%E3%82%8F%E3%81%8D%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%95%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%95%E3%82%BB%E3%83%BC%E3%83%93%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%96-2155742164658993/

「水難学会・ういてまて」フェイスブックページ:https://www.facebook.com/uitemate.jp/

「日本サーフィン連盟」ホームページ:https://www.nsa-surf.org/

 

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「今年の救助技術講習会に参加した当法人岩井医師のコラム」 2019年6月14日投稿:https://iwakikai.jp/blog/1255/

「今年の講習会開催に向けて関係者に呼び掛け」 2019年5月23日投稿:https://iwakikai.jp/blog/965/

「去年の救助技術講習会」 2018年5月22日投稿:https://iwakikai.jp/blog/362/