医和生会(いわきかい)事業推進課の皆川は、若手職員の学びの場「若手ラボ」を5年間企画し続けています。若手の離職を悲しく思い、成長と交流の場をつくろうと始め、今では就職活動生の志望動機になるほどにまで定着。法人全体で若手を育てようという雰囲気も広がっています。自身も成長しながらプログラムをレベルアップさせ、悩んでも解決できる職員を育てています。

1回目の若手ラボで講義する皆川(2020年9月)
● 若手の離職に悲しさ
若手ラボを始めたのは2020年9月。皆川は「医療や福祉という仕事が好きなのに辞めてしまう若手職員がいて悲しかった」と当時を振り返ります。
高齢者を笑顔にしたいという思いを抱いて入職しても、職場での悩みを乗り越えられずに離職する職員を減らすため、「若手職員同士で交流でき、仕事との向き合い方を考える場をつくれないか」と考えるようになり、そこから若手ラボを企画しました。

若手ラボの様子
● 隔月で開催
若手ラボは2カ月に1回開催。1、2年目職員と若手の先輩職員が各回10人程度が集まります。毎回テーマを決め、皆川が講師を務めてグループワークを実施。職場での悩みや困り事とどう向き合うか、どう乗り越えるかをみんなで交流しながら考え合います。
● 職員が成長
若手ラボは現在25回を実施。皆川は「後輩に指導やアドバイスができる若手職員が増えてきた」と実感しています。
入職したばかりの頃、仕事で悩み、事業推進課とのフォロー面談で涙を流していた職員が、グループワークで自身が乗り越えた経験を後輩に伝える様子を見た皆川は「当時は苦しかったと思うが、乗り越えたからこそ、言葉に説得力がある。年の近い先輩の経験談を聞けると後輩も『自分も頑張れそう』と安心できる」と、職員の成長を頼もしく感じています。

第18回目(2024.2.21)
● 職場にも浸透
若手職員以外から「若手ラボ」への期待や感謝の言葉をもらう場面も増えました。受け身の研修ではなく、自ら“研究する”という意味を込めて「若手ラボ」と名づけましたが、当初は法人全体には浸透しておらず「若手ラボって何をするの?」「若手交流会?」と思われることも。
実施内容を報告したり、資料の共有を続けていくうちに、新卒指導者から「同世代で集まって話し合えるのはいい」「社会人としての心得を学べる場があるのはうらやましい」、管理職からは「『管理職ラボ』をやってほしい」という声をかけられたこともありました。

第25回目(2025.6.25)
最近では「うちの部署の〇〇さんも若手ラボに参加させてほしい」という依頼もあったといいます。
● 就活生にも注目されるまでに
成長の場を求める就活生にも注目されています。会社説明会で「若手ラボ」の取り組みを紹介したところ、ここ数年で「社会人として成長できる環境があるから」と「若手ラボ」を志望動機に書いた学生もいました。
社会人として成長できるサポート体制の充実は就活生の魅力にもなっています。
● プログラムも少しずつ改善
皆川は定期的なフォロー面談を通じて新卒職員の共通課題を抽出し、それを解決するテーマへとつなげるなど、毎回試行錯誤を重ねています。
しかし「以前の面談は悩みを否定せずに聞くだけで、悩みの本質を理解できていなかった」と振り返ります。
当時、新卒の「自信が持てない」という悩みをそのまま受け取りテーマ化してしまったこともあり、「今思えば、なぜ自信が持てないのかという原因にまで踏み込み、課題の解決につなげるべきだった」と皆川。
上司からアドバイスを受け、悩みを分解し、本人の思考を整理できるよう面談へと改善したことで、課題の本質や共通点に気づけるように皆川自身も成長。
現在の若手ラボのプログラムは、新卒者が課題の本質に向き合い、次の行動につなげられる内容へと進化しています。

第24回目(2025.3.26)
● 「理想は若手職員が下の世代に教えられること」
若手ラボが根付き、若手を育てようという意識が部署や法人全体に広がってきたことを、皆川は嬉しく感じています。「理想は若手職員が自身の経験を下の世代に教えられること。いつか講師を若手職員に任せてみたい」と、次の目標も語っていました。
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医和生会では、新卒職員や若手職員を対象に、2カ月に1回「若手ラボ」という研修会を開催しています。人間性や考え方の成長を大切にし、人としての成長をサポートしています。