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投稿:2020年04月30日

799. Kさんを追悼・4月の振り返り

▼取材の振り返りではないのですが、とある葬儀がありました。桜の咲くころ、風のように旅立たれたのはKさん。大好きだったというミスチルの「星になれたら」「クロスロード」などが流れ、祭壇に飾られた遺影は最高の笑顔を振りまいていました。弱みを見せない、最後まで明るく振る舞うKさんらしい葬儀でした。

 

▼Kさんとはとあるバーで知り合い、互いに医療・介護業界で働いているということで意気投合。2017年の初夏でした。後に知ったのは、当時はがんで退院したばかりでまだウイッグをかぶっていたという。医療・介護福祉者の交流の場をつくろうと「ケア・カフェ」を企画した中心メンバーで、その取材をしたのが懐かしいです。その翌年、Kさんは「がん治療しながらでも働ける社会にしたい」「女性がん患者のためにウイッグ屋をやりたい」と独立。「『がんです』って言うと周りに気を遣われるのが嫌なんだよね。普通に接してほしい」とよく言い、純粋な気持ちにもどこか強気さもにじんでいたように感じていました。がんが再発したのは独立から半年も経たない、これからやるぞという去年の春でした。

 

↑Kさんに取材した時の「ケアカフェ」チラシ=2017年5月

 

▼その後は入退院を繰り返すように。お見舞いに行っても、ベッドの上でテレワークする姿を見せていました。秋にある資格の更新研修に参加できるかの不安や、SNS上で周囲が頑張っている姿を見ての焦りを打ち消すかのようでした。「SNSとか見ない方がいい」と勧めて「分かってる」と言ってたものの、結局見ていたようで、「ミスチル」を書いた医和生会の某職員コラム記事を読んで「『ミスチルファンに悪い人がいない』って書いてたけどそうだよね。治ったらコンサートに行こう」と言った元気な笑顔も忘れられません。

 

▼そんな強気なKさんも秋ごろになると弱気になっていきました。度あるごとに「退院したらウイッグ屋やるんでしょ。諦めたらだめだよ」と励すと「分かってる」といった返事でした。亡くなる2カ月ほど前。「中之作のつるし雛を見に行きたい」というKさんを連れていきました。ふらつきながらも自力歩行できる状態。手作りの温もり感じるつるし雛を見て「きれい」とすごく喜んで、スマホで写真を撮っていました。帰りには電気屋に行きたいといい、仕事で使える軽いパソコンを見て回りました。「駅前にウイッグ屋をやるいい物件を見つけた」とも言ってたその日、あきらめずにベッドの上でもできる事をやろうとタブレットを操作するKさんが想像できました。

 

▼最後に話したのは亡くなる10日ほど前だったか。電話すると弱り切った声で驚いてしまい「無理しないでゆっくり休んで」とすぐに切ってしまいました。蚊の鳴くように「大丈夫だよ」と言ってたのが私への最後の言葉。コロナの感染予防でお見舞いに行けず、結局そんな最後になってしまったのが無念でした。最後の最後まで仕事の復帰を諦めずに全力で生きたKさんを忘れません。外出自粛で花見客も少ないまま、爛漫の桜は誰にも気づかれないようにひっそり散ってしまいました。ただただ季節は巡り、風薫る5月が始まります。(事業推進室・西山将弘)

 

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※これまでの基準はフェイスブックのリーチ数でしたが、今月からブログ上の「いいね」数に変更します

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